しゅんしゅんクリニックPの未練【帰京したしゅんP】�� ページ7
池田｢さてと｣
しゅん｢？｣
すると池田は机の近くにあったソファーに座り、スマホを見始めた。
幸せそうに顔の筋肉緩ませて鼻歌まで歌って。心なしかスマホを操作する指まで踊っているように見えた。
しゅん｢(好きなタレントさんのSNSでも見てるの？)｣
何見てるんだろ？気になる…。
しゅん｢池田、何見てんの？｣
池田｢〜♪｣
しゅん｢池田？｣
池田｢〜♪｣
しゅん｢池田！｣
池田｢〜♪｣
しゅん｢池田ってば！｣
池田｢〜♪〜♪｣
しゅん｢……池田ぁ！！！！｣
池田｢うわぁ！！｣
何度も呼んでるのに呑気に鼻歌を歌って完全に無視するから、僕は池田と同じ視線の高さまで姿勢を低くして喉が潰れる、とまではいかないけど大きめに声を荒げた。
当然驚かせてしまう結果に終わったけど、やっと僕の声に反応してくれた。
池田｢な、何ですかしゅんPさん！びっくりしたぁ！｣
相当驚いたらしい池田は胸元に手を当てながら耳からキュッと小さなワイヤレスイヤホンを取り出した。
しゅん｢あ、何か聴いてたんだ。だから僕の声が聞こえなかったのか｣
池田｢もぉっ！用があるんやったら肩でも叩いて呼んで下さいよ！｣
しゅん｢ごめんごめん、無視されたからちょっと腹立っちゃって。
…で、何見てたの？｣
やっと反応してくれたところで本題を突き付けると、池田はオーバーな程肩をビクッと震わせた。
池田｢い、いや別に大したヤツじゃないですよ！｣
しゅん｢さっきからスマホ見て鼻歌歌ってニヤニヤして、気になって仕方ないんだけど。
何？イヤらしい動画でも見てたの？｣
池田｢な！そ、そんなモン
しゅん｢だったら言えるだろ？｣
池田｢そ、それは…
！あ！！｣
ーｶﾞﾀｯ!
しゅん｢あ｣
僕に見られまいとばかりに自分の背中に隠していたスマホが慌てまくる池田の手からスルリと抜けて上手いことソファーを滑るようにして僕の足元まで転がってきた。
しゅん｢！｣
仰向けの画面に写し出された写真を見て僕は一瞬息することを忘れた。
艶やかな長い黒髪に吸い込まれそうな大きな黒い瞳。そして柔らかくて優しい微笑み。
紛れもなくAさんだ。見間違えるはずがない。
そしてそんな彼女に甘えるように寄り添って彼氏感漂わせて写っているのは、目の前にいるこのスマホの持ち主。
ーｷﾞﾘ…
僕はいつから神経が高ぶると奥歯を軋ませるようになったのだろう？
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作者名：コッティ | 作成日時：2020年7月28日 23時
