主婦兼ママ芸人のちっちゃな出来事まとめー第2章ー (ページ26)

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小さな温もりに包まれて【KOUGU維新】① ページ26

曲尺｢ｺﾞﾎｯ…ｺﾞﾎｯ…｣

巻尺｢兄上大丈夫ですか？｣

プラス｢…ダメだ。一向に熱が下がらないな｣

この時期にしては異様に気温が低い今日。急な温度変化が影響してか病弱な曲尺が案の定体調を崩し、今朝から高熱を出して病床に伏せていた。
心優しい親方様のご好意で客間のベッドをお借りして皆で曲尺を看病するが、曲尺の熱は上がる一方だった。

やっと｢ほんと身体弱ぇなお前｣

砥石｢しゃらくせぇ！折角曲尺と稽古出来ると思ったのによ！｣

大林｢砥石静かにせぇ。曲尺の身体に障るやろ｣

巻尺｢こんなに看病してるのに、なんで熱が下がらないの？兄上こんなに苦しんでるのに…っ。うぅぅ…ふぇぇ…っ｣

やすり｢巻尺泣かないで。ほら、やすりすり…｣

大好きな兄の辛そうな容態に巻尺はベッドに顔を伏せて泣き出してしまった。

『無理して熱を下げるより上げた方がえぇよ。熱が高いと身体の中におる病原菌が死んで反って早く治るらしいから慌てんで大丈夫よ』

プラス｢そ、そうなんですか？｣

『うん。私の後輩に芸人やりながらお医者さんやってる子がおってね、前に熱出した時にどうすればえぇか教えてくれたんよ』

キリ｢本業の方がそうおっしゃるならばその方がよろしいのかもしれませんね｣

『やから巻尺、心配せんで大丈夫よ。あなたが泣いてたら曲尺も悲しむで？』

巻尺｢うん…ﾋｯｸ…｣

親方様に優しく頭を撫でられ、巻尺はしゃくり上げながらも涙を拭いながらゆっくり顔を上げる。

曲尺｢ｺﾞﾎｯ…、申し訳ありません親方様、旦那様。ご迷惑をお掛けして…。
巻尺も、プラスドライバー達も、申し訳ない…｣

プラス｢気にするな。俺達はそんな風には微塵も思ってない｣

『そうよ。こういう時こそ頼ってくれた方が私らは嬉しいよ』

大林｢何も考えんと俺らに甘えてゆっくり休んだらえぇねん｣

曲尺｢ｺﾞﾎｯ…は、はい…｣

これくらいで迷惑と思う奴がどこにいるというんだ？こんな時に世話を焼くのが仲間だろ？
紳士的な曲尺だからこそ、親方様だけでなく俺達にも気を遣ってしまうんだろうな。

キリ｢しかし、これだけ熱が高いとお子様達に移してしまいかねませんね。完治するまで曲尺とお子様達の接触は避けた方がよろしいですね｣

『そうね。子どもらも曲尺を心配してたけど、仕方ないね』

曲尺｢ｺﾞﾎｯ…坊っちゃん…お嬢様…。ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ…｣

可愛い坊っちゃんとお嬢様とふれあえないことに曲尺はがっかりしたように咳き込んだ。