異世界派遣担当。ⅲ【wrwrd!】【完結】 (ページ35)

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syp ページ35

2人で全力疾走したあと、目の前に人が見えた。特徴的な青の長髪だ。

『げっ…一番使えなさそうな奴に出会ったわ。』

syp「うっわ兄さんやん…。」

『まだシッマの方が良かった？』

syp「いや、それは死んでも嫌や。どうせならチーノがよかった。」

『相変わらず辛辣ゥ。まぁ、でも行きにくいよね。大先生、なんか今お熱い感じじゃん。』

ぐっと目を凝らすと大先生と被って見えなかった、女性が見える。

『黒髪ロング、水色の瞳、白のシンプルワンピに大きめの白いリボン、身長は平均より。清楚系だにゃあ。』

syp「なぁに分析してるんすか。どーします、他探しに行きます？」

『んいやぁ、あれ見てよーぜ、絶対おもろい。』

過去一幸せそうな微笑みを浮かべる大先生を指差したAまたじっくりと眺めながら話始めた。

『多分ね、この場所はその人それぞれの恐怖に干渉してくるんだと思う。それは恐怖だけかって聞かれるとうん、とは言えないんだけど。』

syp「ああ、じゃあ俺が何も見えなかったのはその恐怖にリンクする部分がなくなった記憶の部分にあったから干渉を受けなかったってことやな。え、じゃあなんで大先生怖そうやないん？」

『そう、そこ。察しがいいガキは助かるわ。私の場合は過去の恐怖への干渉だった。でも大先生のあの女の人は見た感じ幸せな記憶への干渉。』

syp「……てことは、忘れられない記憶、とかか…。だとしてもなんで？ダメージを与えるためにぷあぷあが作った空間なら幸せな記憶とかやっても意味ないんやない？」

『んね。』

じっとまだ大先生達を見つめながらそう短く返された。

幸せな記憶に浸ってもうここから出たくない!みたいにするのならまだわかるが、ここは人を食べる植物ではない。この場にとどまらせても無意味なのは見てとれる。

なんならこれはあくまでぷあぷあと「魔法のかくれんぼおにごっこ」をしているみたいなものなのだ。ずっと見つからないかくれんぼなんて、やるわけがない。

syp「あー……俺わかっちゃったかもしれない」

『最悪な方？』

syp「一番最悪なやつ。」

なに？と首を傾げてこちらを向くA。最悪か最高か、そのどちらかということしか検討がつかなかった、というAにゆっくり考察を告げる。こうであってほしくない、と願いながら。

syp「幸せだけど、幸せじゃない記憶。」