まっくろさん ページ2
『……え？？』
何が起こったのかわからず、本当に少しだけ開けていた目を大きく見開く。茶色のボブカットを揺らしながら目の前で仁王立ちしながらこちらを見下ろす子がいた。右手には、先ほど投げたであろう
「大丈夫？」
『えっ…と…』
「なんかよくわからんけど…急に道のど真ん中で苦しがってるの見えたもんやからとりあえず斧投げてみたんやけど…平気？」
な、なんだろ…“とりあえず”で凶器振り回す人、初めて見たよ…でもそうか、助けて、くれたんだ。見えてないのに、私を。
『あ、ありがとう…えっと…』
sha「ん？あ、俺？シャオロンやで！」
『ありがとう、シャオロン…』
女の子とばかり錯覚していたシャオロンは、にひひっと笑う。恐怖で支配されていた心の中にはさっきまでとは違った温かい何かがゆっくりと溜まっていった。この子になら、言えるのではないか？あれを倒した、この子なら。人が死ぬ原因を、他人にはない私の力のことを。
『ねぇ、シャオロン…私さ、人には見えてない“何か”が見えるの。』
sha「えっ、何言ってんの？」
何の話だかわからない、と怪訝な顔をして首を傾げる。しばらくして「あっ」と斧の刃先を撫でた。
sha「もしかしてさっきなんか斧に当たったのってその見えない何かだったりするん？」
『ま、まぁ…』
sha「はぇー…どんな感じなん？その見えない何かって。」
シャオロンの質問に思わず口籠る。一つと言い表すことができないのだ。簡単に言えば、“妖怪”みたいな。種類が多い。妖怪と違うのはそのどれもが同じ目的を持っていること、人を襲う条件が同じであること。
sha「……名前は？」
『…A。』
sha「じゃあA、俺もなちょっと秘密があんねん。俺な、多分Aが見えとるその“見えない何か”倒せるんよ。よくあんねん。何もないはずなのにやたらとぶつかったり足取られたり。それって、そういうことやろ？」
おもわず、呆気に取られてしまった。似たような人が、自分以外にもいると思わなかったから。私が最初、どれだけ抵抗してもスカすばかりで倒せなかったそれを、倒せる人がいるから。
sha「な、俺と協力して、"見えない何か"…言いにくいな…せやなぁ…いっちゃん深夜に活発な奴らやし、"夜”とでも言っとこーや。……夜を、俺らで全部消してしまおうや。」
それはとびっきり恐ろしく、そして少しだけ、希望を感じる話だった。
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noroma±睡魔2号店(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます！気分投稿ですけど…頑張ります！ (2023年3月12日 21時) (
レス) id: bb5893bd99 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - インフル…！体調第一で大丈夫ですので！！ (2023年3月7日 22時) (レス) id: c680ea5625 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：noroma±睡魔 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Chihiro0521/
作成日時：2022年2月3日 18時
