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「‥もしもし、どしたの？」
ずっとコールが鳴り止まないから、
私は通話ボタンを押す。
『何となく。かけてみたくなったから』
「‥そっか」
電話の向こうからは、
ザワザワした声が聞こえて。
たくちゃんが外にいるのがわかる。
「たくちゃん、この前は、ごめんなさい、
事務所の人に言われちゃったんだよね、」
『え？何でそれ知って‥あ、佑亮か』
やっと落ち着きはじめた涙が、
また溢れそうになる。
『大丈夫だから、気にすんな、‥友達、だし』
「‥そうだよね、友達」
たくちゃんの言葉を聞くと、
すっと安心してきて。
改めて凄い人だなって感じる。
『あのさ』
たくちゃんがぽつり、と呟く。
『栞里のこと、本気になったかも』
ザワザワした街の音が聞こえる中で、
たくちゃんのその言葉が鮮明に聞こえた。
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作者名：あかり | 作成日時：2016年8月6日 23時
