お届けものです。 (ページ1)

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時計は20時。金曜日。

「あ～～金曜日だ！！！！ただいま私」

そんな私の独り言が、
一人暮らしの部屋に響く。

短大を出て、都内の企業に無事就職して。
憧れだった一人暮らしも始めた。

完璧。

これで彼氏が居れば完璧。なーんてね。

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ピンポーン

軽やかな音が鳴って私はハッとする。

そうだ、実家の両親が
仕送りで荷物を送ってくれるって言ってたんだ！

《生ものだからちゃんと家に居なさいよ》

この前、お母さんがそんなことを言ってたのを
思い出した。

生ものって何だろうなあ

「はーい！」

なんの気もなく、ドアをガチャンと開ければ。

『お届けものです、生もの届けにきちゃいました！！』

生ものを届けに来ちゃった彼、もとい、佑亮は。
昔から変わってない笑顔でニコっと笑った。

笑った。じゃなくて。

「は？」

待ち構えてた印鑑が、コロコロと転がる音が聞こえた。