答えあわせ 2

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『里紗ちゃん〜』

秋は、きっとすぐ側にある。

「あ、花村さん」

9月に入れば、朝晩は少しだけ涼しくて。
半袖じゃ寒いな、なんて感じることも増えた。

大輝が転勤してしまってから、１ヶ月が経った。

花村さんは相変わらず、花村さんだし。
私の仕事も平凡に、ただ、毎日が過ぎていく。

こうやって声を掛けてくれる花村さんの後ろに。
もう、大輝は居なくて。

当たり前になっていくのが、ちょっとだけ怖い。

『…どうしたん？』

「あ、ごめんちょっと考え事してた」

へらり、笑ってみたけれど、花村さんはなんだか真剣な顔。


『最近、どうなん？』

「何が？笑」

『まー、色々』

花村さんが何を言いたいのかは何となく分かった。

「どうせ大輝のことでしょ笑」

『…まあそうやけど、里紗ちゃん、
大輝くん居らんくなってから元気無いし』

「そんなことないよ〜？私はいつでも元気です！
…私これからミーティングだから！」

大げさに笑って、手を振って。
ミーティングのある部屋まで向かう途中で、
自販機が目に入る。

いつものカフェオレは、あの日以来飲んでいない。

…

あの日に戻れたら、なんて。

いつか聴いた歌の歌詞が頭に浮かぶ。

何回も思った。
大輝としょうもない話をしていたときに戻れたら。

意味の無い後悔も、ぐっと飲み込んで。

「はやちゃん、今仕事終わったからこれから向かうね」

私の見るべき先は、未来だ。

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