答えあわせ 2

52.° ページ2

駅に向かう、工藤さんのことは、
すぐに分かった。

相変わらず、スーツが似合うその姿に。
声を掛けてみれば、一瞬驚いた顔をしたけれど。
すぐに笑顔を俺に向ける。

でも、その笑顔が作られたものだってことくらい。
俺も分かる。

『今日は、工藤さんに話したいことがあってきました』

『へ？俺？』

工藤さんが間抜けな声を出すから。
思わず頬が緩んだ。

……

工藤さんが行きつけだという居酒屋で、
ふたり、ジョッキをぶつけた。

きっと、工藤さんだって分かってる。
俺がなんの話をしたいか。
誰の話をしたいか。

『里紗のこと、どう思ってるんですか？』

『どうって？』

そんな風に言って、
目を逸らしてお酒に口をつけた工藤さんの、
単純さが手に取ったように分かる。


『俺は、里紗のことが、好きだよ』

観念したように、だけど、真っ直ぐ俺に言った工藤さんに、
返す言葉は決めてあって。

『…奇遇ですね、俺もです』

そんな風に俺が呟いてニコリと笑えば、
何とも微妙な笑いを見せて、またお酒に口をつけた。

…

『工藤さんって、やっぱ分かりやすいですよね』

『え？』

そのポーカーフェイスに見え隠れする本当を、
俺は知ってしまった訳で。

でも、『里紗は同期』なんて嘘つかれるより、
『好きだ、』と認めた工藤さんの方が俺は好きだけどね。

まあ、半分俺が言わせたようなもんだけど。

だって、その方が、燃えるでしょ？

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