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「ごめんね、お休みなのに…」
『予定無かったから、大丈夫だよ。』
おかゆを食べてもらって、風邪薬も飲ませた。
早く下がればいいけど。
時より辛そうな顔を見せる里紗に、
熱さえ憎い。
「何か、変な感じ」
『へ?』
ぽつり、里紗がそんな風に零す。
「はやちゃんにこうやって看病してもらうなんて、笑」
『何それ笑』
「引っ越しちゃってから、もう会えないと思ってたから。
はやちゃんに会えて嬉しい」
ふにゃ、と笑う里紗に、
俺はどんな反応をしていいか分かんなくて、
思わず目を逸らした。
「ね、はやちゃんってさ」
『ん?』
「彼女とか居るの?」
里紗はいつだってずるい。
そのずるさも無意識さも、俺を惑わす。
『居ないよ、』
「はやちゃんに彼女が居ないなんて不思議だなあ……」
独り言みたいに零すその言葉は。やっぱり無意識で。
言ってしまいたくなる。
その無意識に、意地悪を。
「…あ、」
里紗が小さく声を上げて、
目線の先のPhoneが光る。
『電話?』
「ごめん、ちょっとだけ」
申し訳なさそうな顔をして、里紗がiPhoneを手に取る。
嫌な予感がする。
「もしもし、大輝?心配して電話くれたの?笑」
やっぱ、出ないでって言えばよかったなあ。
なんて思っていたら、
気付けば、手が伸びていた。
「…っはやちゃん?」
ベッドに投げ出されたiPhone。
『…幼馴染のままでいれるわけないじゃん』
「え?」
ぽつり、呟いた言葉。
そのまま数秒目が合って、里紗をゆっくり、ベッドに倒す。
ちらついた工藤さんの存在を、掻き消すように。
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あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
。 - すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時