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『お足元お気をつけ下さい』

「あ、ありがとうございます…」

『なんで敬語なの笑』

「何か緊張しちゃって…」

はやちゃんなのに、はやちゃんなのに。
何でこんなに緊張するんだろう。

…いや、でもよくよく考えたら、こう思うのって普通だよね?

見ためは変わっても、はやちゃんははやちゃんだ。
それは変わらない。けどさ。

『ちょっと髪の毛、触るね?』

「…うん、」

私の髪に触れるその手は、前はもっと小さかった。

『硬くなりすぎ、リラックスしてよ』

「…してる!」

『はいはい、マッサージするから痛かったら言ってね』

私に話しかけるその声だって、もっと幼かった。

今まで自然に話せていたのは。
あくまでも私とはやちゃんの二人の関係性の中だったからで。

『颯、お客さんから電話!』

『徹くん今行きます…!ごめん、ちょっと待ってて』

こうして、弟みたいに思っていたはやちゃんが。

『…お電話変わりました、和田です』

私の知らない環境で、私と違う場所で。

『…すみません、今週は予約でいっぱいで…、
来週いかがですか?もうそろそろ伸びて来た頃かな?笑』

知らない誰かと話している姿を見たら。
なんだろう、別の世界にいるみたいに見える。

『…颯、人気なんだよね』

「大野さん!」

ぽつり、呟くような声が聞こえて、
顔を上げれば鏡越しに大野さんと目が合った。

『技術は一人前だし、接客だって完璧。』

「人見知りだったはず、なのに」

『仕事になるとスイッチ入るって。…プロ意識高いな〜って』

「そうなんですね…」

『一緒に働けて誇りに思うよ…あ、電話終わったっぽいね』

颯に怒られるからまたね、ごゆっくり。
なんて大野くんは優しい顔をして笑った。

…そっか。

『…お待たせ。雄大くんと何話してたの?』

私の髪に触れながら、鏡越し、何故か真剣な顔。

「…秘密〜」

『うわ。そーいうこというんだ。
里紗も随分悪い子になったね』

頬を膨らますはやちゃんは、
私の知っているはやちゃんで、なんだか安心した。

「ふふ、そのうち話すね」

きっとはやちゃんが聞いたら、喜ぶだろうなあ。

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あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
- すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時

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