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「…ん」
目が覚めて。
ベッドサイドのデジタル時計は夕方の5時を表示している。
それと同時に感じた温もり。
ちらり、視線を動かせばはやちゃんが
ベッド脇で私の手を握りながら眠っていて。
綺麗な寝顔を見つめる。
栗色のふわふわな髪の毛に、空いている手で触れてみた。
さっきの言葉に、胸が詰まる。
こんなに鮮明に覚えているから、
多分夢とかそんなんじゃなくて。
からかっただけ?それとも?
「分かんない…」
『里紗』
「っえ、起きてたの」
寝ていると思ったその姿から、声が聞こえたから、
驚いて手を引っ込めた。
『触られてたら起きちゃった。変態なの?笑』
「ちが…」
ふふ、と笑うはやちゃんは余裕そう。
こっそり触ってたつもりだったのに、
恥ずかしくて顔がかーっと熱くなるのが分かる。
『熱、大丈夫?』
「測ってないけど、さっきよりはしんどくないかも…」
『良かった。お水持ってくるね、その間に測ってて。』
キッチンへと向かうはやちゃんの後ろ姿を見ながら、
ぼーっと体温計で熱を測る。
ずっと繋いでいた手が離れて、何だか寂しい。
ピピピ、という音とともに表示された体温。
「はやちゃん、熱下がった!36.7℃!」
『ほんと??まだ微熱だけど良かった!』
ふわりと笑うはやちゃんに、
私もつられてふふ、と顔が緩む。
「ありがとう、はやちゃんのおかげだよ、」
『俺は別に何にも。笑』
「今度、お礼させて!何でもする!」
『お礼かあ……んー、お礼はいいから、』
考える素振りをしたはやちゃんが、じっとこっちを見た。
『さっきみたいに、撫でて』
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あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
。 - すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時