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…俺って、偉くね?

と、誰に言うわけでもなく、頭の中に浮かぶ。

すーすー、と寝息をたてる里紗の横。
正直DVDなんて集中できないわけで。



急に里紗が来てからの俺は、
割とうまくやれてたんじゃないかと思う。

…まあ、同期だし。
別に意識する話でも無いけど。

「ワインってけっこう、酔うね」

取引先に貰ったワイン。
グラスをぶつけて暫くすれば、ほわん、と赤い顔。

やべ。また飲ませすぎた。

思わず和田くんの顔が浮かんだけど、
何か嫌だからかき消す。

かくかくと首を揺らして。
今にも意識を失いそうな里紗に。

『寝ていいよ、終電近くなったら起こしてあげるから、』

そんな風に言ったのは、
別に疚しい気持ちがあった訳じゃ無い、これは確実に。

でも、

お言葉に甘えて、なんて言って俺の肩ですやすや眠る。
二人きり、週末、曲がりなりにも男女。

…まずい。

いや〜これはまずくね?

そんな時に横に置いておいたiPhoneが光る。

想太大輝くん今日は行けなくてごめんなさい、里紗ちゃんのことお持ち帰りしとるんですか?わら

『わら、じゃねえよ…』

返す余裕もこっちは無いのに。

ふう、と大きく息を吐いて、里紗を見る。
その体をゆっくり抱き上げて、ベッドへ運んだ。

俺と里紗の重みで少しだけ沈むベッド。
リビングから聴こえる洋画のセリフ。
間接照明を点ければ、淡い灯りがベッドルームを包む。

『里紗』

名前を呼んでみた。起きねえけど。
その上に跨って、耳を少しだけ触れば。

「ん…っ」

なんて声が里紗から漏れて。

…まずい。色々と、まずい。
疚しい気持ちはありませんでした。
だけど上に跨りました、なんて。
言っても誰も信じないし、まあ言わないけど。

ベッドから離れて、里紗の居ないソファーに座る。

…ソワソワする気持ちの意味が。
分かりそうで、分かっちゃいけないような気がして。

残り少ないワインをグラスに注いで一気に飲み干した。

『俺、何してんだろ』

ソファーに寝転び、顔を手で覆ったら。
いつの間にか意識も途切れていた。

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あかり(プロフ) - 。さん» はじめまして!そう言っていただけて嬉しいです!励みになります。これからも最後までお付き合いください◎ (2017年10月25日 8時) (レス) id: 7a52df4d5b (このIDを非表示/違反報告)
- すごく凄く面白くて表現がとても綺麗で読んでいてきゅんって、できるような作品でとても好きです。 (2017年10月25日 0時) (レス) id: ff129d1410 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかり | 作成日時:2017年9月24日 0時

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