Aぇ!軽音楽部!!!!!! (ページ41)

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突然の訪問宣言ページ41

―とまあそれなりにやる気と目標を持って草むしりに取り組んだものの、気持ちだけでそう上手くいくわけもなく。

結局2日目は朝から夕方まで草と土に塗れて過ぎていった。

福本「あー…疲れたー…」

食堂のテーブルにぐったりと突っ伏す福本くん。

だらしのない表情と目が合った瞬間、ふにゃんと柔らかい笑みに変わる。

福本「晩ご飯唐揚げらしいで」

唐揚げが嬉しい福本くんの可愛らしさはさておき、先程からずっと強い視線を感じる。

恐らく気の所為でないそれは斜め向かいに座る末澤先輩からのもの。

小島「あ、てかまっさん昨日の夜俺らの部屋に靴下忘れてったまんまやで」

正門「あ、ほんまあ？後で取りに行くわあ」

マラソンに続き草むしりとハードな2日間を過ごした私達にとって束の間のまったりとした時間。

だけどやっぱり視線という名の圧を拭い切れない。

草間「正門昨日寝言言ってたな」

小島「え、何て言ってたんすか？」

草間「"誰が煎餅に似てるって？"って」

小島「待って何それ、めちゃめちゃおもろいやん」

福本「煎餅？まっさんどんな夢見たん？」

正門「えぇ…？覚えてへんなあ」

緩い会話と笑い声が響く中、末澤先輩の方からは何も聞こえてこない。

目を合わせないように正面の福本くんを凝視し続けているけれど、この回避方法では限界があるように思える。

A「…あの」

視線を交えるのが何となく怖くて、末澤先輩の頬辺りに視点を合わせる。

かと言って目を見たところで何を考えているのかは分からないから、普段と大きな変化はないけれど。

A「何でさっきからこっち…」

末澤「飯終わったら部屋行くわ」

A「えっ？」

思わず驚いて瞳を見てしまった。

怖くなるくらいに真っ直ぐな黒目が瞬きもせずに私を捉えている。

あの日以来勝手な気まずさを感じてまともに会話を交わしていなかった末澤先輩からの"お部屋訪問宣言"で脳内がぐるぐると混乱する。

このままずっと避け続けるつもりではなかったものの、2人きりで話をするには心の準備が足りていない。

そもそも私の部屋に来る目的が分からない上に予想をすることも困難。

表情を盗み見たとて末澤先輩の心情を読み解くことはできない。

末澤「あー、腹減ったわ」

―案外何も考えていない可能性も無きにしも非ずだけど。