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佐野「あ、誠也くんや」
灼熱の廊下から現れたのは末澤先輩。
今日は来ないと思っていたから意外ではあるものの、3人集まれば少しくらいはマシな部活動になりそうな気がする。
末澤「え、2人？」
佐野「そうなんすよ」
末澤「えぐっ、あいつら何してんねん」
いや先輩も遅刻してますやん。
―と心の中で呟きながら"おはようございます"を唱えた。
末澤「何の話してたん？」
A「いや…」
末澤先輩には知られたくない。
どうせ散々イジられて面倒なだけ。
福本くんとの疑惑なんてものは彼にとって恰好のネタでしかない。
言わんといて、と祈りを込めた視線を佐野くんに送ってみる。
佐野「あ、一旦確認しときたいんですけど」
末澤「何？」
佐野「部活内恋愛って禁止されてない…っすよね？」
あかん。この子口軽いわ。
バリバリ言う気やん。終わった。
末澤「えっ…佐野、お前…」
末澤先輩が目を見開く。
末澤「誰かのこと好きなん？誰？小島？」
佐野「いやいやいやいや！ちゃう！ちゃいますよ！」
末澤「え？じゃあ誰？…リチャ？」
佐野「俺は女の子が好き！」
あくまで超絶真剣な末澤先輩と必死に否定する佐野くん。
傍から見ていると面白くて思わず笑い声を上げた。
末澤「じゃあ誰？大晴？」
先輩の平和な勘違いのお陰で話題が逸れていきそうな気がしてほっと一安心。
佐野「いやいや、大晴くんはAちゃんっすやん」
―したのも束の間だった。
A「な…ちゃうって！」
佐野「ええっすやん、隠さんといてくださいよ〜」
A「ほんまにちゃうねんて」
否定すればするほど怪しいとはこのことだろうか。
佐野くんの瞳はどんどん疑いを含んでいく。
末澤「おー、正門の次は大晴なん？」
A「いや…」
佐野「え！？正門くんも落としたんすか！？」
A「何もあらへんって！」
ほら、イジりの的になる。
しかも話がややこしくなってしまった。
末澤「ま、あかんけど」
A「え？」
末澤「部活内恋愛禁止やで？俺最初に言ったやん。」
完全に初耳のルールに驚く。
佐野「そうなんすか！？禁断の恋っすやん！」
腰を下ろした末澤先輩と目が合ってすぐに逸らされた。
末澤「何回もくっついたり離れたりされたら鬱陶しいし」
え？
何その言い方。
私が軽いみたいやん。
誰でもええ女みたいやん―
A「…今日練習できなさそうやし先に帰ります」
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
