Aぇ!軽音楽部!!!!!! (ページ32)

今日:2 hit、昨日:86 hit、合計:88,257 hit

. ページ32

無事自分達の出番が終わり、観客に手を振りながらステージ袖へ。

集中力の欠如により数え切れないほど細かいミスを繰り返してしまった。

特にあの曲―

末澤「お前歌詞飛ばすなよ〜！」

A「…ごめんなさい」

佐野「Aちゃん合宿のことばっか考えてたんやないすか〜？」

草間「そういう晶哉も2曲目の入りミスってたけどな。」

佐野「…すみませんでしたぁっ！」

意を決してテントを出た。

福本くんの"どこ行くん！？"という言葉を無視して走る。

さっき見えたのは絶対にあの人だ。

何でこんなところに現れたのか、一体何が目的なのか。

植えられたばかりの芝生を駆けていく。

関係者用テントの辺りにはもういない。

となるともう帰ってしまったのか、それとも―

公園の入口に設置されたパンフレット。

所謂"ご自由にお取りください"コーナー。

部室で見せてもらったけれど、細かいところまでは目を通していない。

A「…嘘やろ…」

手に取ったパンフレットに表記されている人物。

まさかこんなところに関わっているだなんて知らなかった。

その名は紛れもなく―

福本「Aちゃん！」

背後から聞こえた声に振り向く。

少し離れたところから福本くんが走り寄ってくる姿が見えた。

私は咄嗟にパンフレットを元あった場所に戻して平然を装う。

福本「急にどうしたん？」

肩を上下させながら上がった息を整える福本くん。

心配そうに私の様子を伺っている。

福本「…誰も怒ってへんで？」

A「えっ？」

福本「皆ミスってたし…俺なんかもう途中わけわからんくなってたし！」

A「え、いや…」

福本「誠也くんも"言葉きつかった"って反省してるし！」

どうやら私がミスを気にしていると思ったらしい。

A「ちゃうちゃう、ちゃうねん」

福本「え？何が？」

A「知り合いが…おったような気して」

福本「え？どこに？」

A「さっきステージから見えてん。けど気の所為やったわ。」

福本「え？そうなん？探さんでええの？」

A「うん、大丈夫！テント戻ろ！」

どうやら上手く誤魔化せたらしい。

"合宿楽しみやな〜"なんて言いながらニコニコ笑う福本くんの隣で複雑な心境を抱えたまま皆のいるテントへ戻った。