真夏のやる気スイッチ ページ30
真夏に向けてジリジリと上がっていく気温。
ブレザーやセーターと別れて半袖ワイシャツへ衣替え。
街も校内もすっかり夏色。
小島「あと3日かあ…」
テストも無事終わり、残すところイベントへの出演だけ。
それが終われば待ちに待った夏休みへと突入する。
A「去年こんな暑かったっけ…」
草間「なんか毎年暑なってへん？」
佐野「温暖化っすねー…」
床に寝そべる小島くんはワイシャツすら脱ぎ捨て、Tシャツ1枚で額に汗を浮かべている。
その隣で両手に団扇を持つ佐野くん。
更に隣では福本くんがスポーツドリンクを一気飲みしている。
小島「てかそもそもおかしくないすか！？」
末澤「何が？」
小島「部室のクーラー壊れてるって！拷問やんかこんなん！」
彼の言う通り、この部屋のクーラーは一切機能していない。
室先生の話によると明日業者が来るらしいけれど、それも本当かどうかにわかに信じ難い。
末澤「しゃあないやろそんなん言うたって…」
職員室から運び出した扇風機2台をフル稼働させるも、こんなものは無意味に等しい。
福本「本番も絶対暑いやろなー…」
小島「うっわ…考えたらもう既に暑い」
草間「当たり前やろ、今ここが暑いんやから。」
下見に行った日もかなり日差しが強くて暑かったことを思い出す。
ステージには屋根があるとはいえ、あんな中で歌いながらギターを弾くだなんて憂鬱すぎる。
小島「も〜今日は帰りましょ！ええっすやんたまには！こんなん無理ですって！」
佐野「でも3日前っすよ？」
草間「流石にやばいやろ。」
福本「ムロセンの面子潰したくないしな…」
小島「まあ…確かに」
―と言いつつ一切動く様子のない彼らをぼんやりと眺める。
私も私とて練習する気になれない。
末澤「あかん、はよやろ」
小島「えぇ〜」
末澤「…お前らなあ、見てみ？」
末澤先輩の声で全員が顔を上げる。
小島「…えっぐ。」
草間「雨にでも打たれたん？」
佐野「シャワーかも」
福本「学校ってサウナあったっけ…」
汗だくなんて可愛いもんじゃない。
水浸しという表現の方が余程合っている彼の姿に絶句する。
正門「汗かきなんよ〜」
困ったように眉尻を下げた正門くんが笑った。
末澤「な？正門よりマシやろ？」
小島「…練習しよか」
草間「そやな」
佐野「どっからやります？」
福本「とりあえず通す？」
この日以来彼は真夏の軽音部専属やる気スイッチと化した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 401人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
