雨といえばお約束のアレ ページ22
絶賛梅雨シーズン。
降っても降っても降り止まない雨と分厚い雲が私達の心を重たくさせる。
佐野「もー…また雨っすやん」
草間「嫌やなあ…」
部室に憂鬱な空気が漂う。
しかし、その中でただ1人だけテンションが上がりまくっている人物がいた。
小島「雨…雨と言えば俺…俺と言えば雨…」
佐野「…さっきからどうしたんすか？小島くん。」
小島「雨やで！？特大チャンスやん！」
草間「"チャンス"？」
目を輝かせる小島くん。
佐野くんとリチャ先輩は怪訝そうにその表情を見つめる。
小島「雨と言えば相合傘やろ」
あ、この前の話まだ続いてたんや。
どうやら彼の中のモテ願望は収まるどころか向上していたらしい。
小島「雨の放課後…傘を忘れて困るA子ちゃん…」
佐野「A子ちゃんて…安直やな」
小島「そんな彼女に俺は問いかける…"俺の傘、入る？"と…」
草間「小島ってほんまに人生楽しそうよな。」
小島くんによる妄想劇が収束したところで部室の扉が開いた。
福本「遅くなりましたあ！」
小島「お、大晴やん」
福本「ムロセンに呼ばれとって…」
佐野「え？どうしたんすか？」
何やら嬉しそうな笑顔を浮かべる福本くんが1枚の紙を掲げる。
福本「じゃーん！次のライブ決まりましたー！」
"おおっ"という声と共に駆け寄る一同。
福本くんが得意気にパンフレットらしき紙を差し出した。
草間「えっ！野外やん。」
福本「そうなんすよ！」
佐野「えぇっ、ほんまや。俺らの名前載ってる！」
小島「いつの間に決まったん？」
福本「なんかムロセンの知り合いの人が主催のイベントらしいで」
結局部室には1度たりとも顔を出していない自称顧問の室先生。
でも何だかんだで私達のことを気にかけてくれてはいるらしい。
佐野「これ誠也くん知ってるんすか？」
草間「多分知らんのちゃう？」
小島「まっさんと誠也くんに連絡しよーっと」
忙しくなりそうな予感。
それと共にワクワクしている自分がいることに驚いた。
先程までどんよりしていたはずの心は晴れ、部室全体が明るくなった気がする。
外の雨なんて気にならないくらい。
小島「うわー、なんか電波悪いわ」
福本「雨のせいちゃう？」
小島「A、2人に連絡できる？」
A「あ、うん」
スマホの画面をタップし、届いていた通知を何の気なしに眺める。
A「…誰やろこれ」
見知らぬ番号からの不在着信履歴が残っていた。
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
