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「部活中ちゃうん？何でこんなとこでくっちゃべっとんねん！」
A「先生…」
現れたのは正門くんのクラスを担任する"ムロセン"こと室龍太先生。
何だか期待外れな感じがしなくもないけれど、それはまあ一旦置いておくことにする。
「げっ…ムロセンかよ…」
室「"げっ"って何やねん！"げっ"って！」
A「何で先生がいてはるんですか？」
室「お前もちょっと残念そうにすな！」
結局先生が女子生徒2人を叱り、呆気なく鍵を取り返してくれた。
室「んでお前遅いねん！」
A「え？"遅い"って…？」
室「集合時間過ぎてるやんけ！」
"集合時間"やら"遅い"やら、何のことだかさっぱり分からない。
室「お前ら今日ライブやろ！？」
A「そうですけど…」
室「…もしかして知らんの？」
A「え？何をですか？」
キョトンとしている私に呆れ返った様子の先生は大きな溜め息をこぼした。
室「…俺顧問やねんけど。」
一瞬の間を経てめちゃくちゃに驚いた。
A「ええええっ！？顧問おったんや！」
室「顧問無しで部活の許可通るわけないやろ」
A「でも先生1回も来てへんし…」
室「あんなあ…」
2度目の溜め息。
室「俺こう見えて忙しいからな。」
―要するに、顔を出すのが面倒ということだ。
学校のルールとして校外での活動には顧問又はコーチが同伴しなくてはならないらしい。
先生達も大変そうやなあ、なんて呑気な考えが巡る。
室「連絡つかんって小島が喚くからしゃあなし迎えに来たわ」
A「ありがとうございます」
室「ええよ別に…はよ行かな間に合わんしギター取ってきて！」
A「はい！」
まさかの展開ではあるけれど、先生のお陰でとりあえず事なきを得た。
集合時間には大幅に遅刻しているものの本番にはどうにか間に合いそう。
ほっとする間もなく部室へ走ってギターケースを担ぐ。
A「あ、先生」
室「ん？」
A「さっきのこと…皆には言わんとってください」
室「え？…何で？」
時間に間に合わなかったことを誰かのせいにしたくはない。
特に福本くんには絶対に責任を感じて欲しくない。
私が迂闊だった、ただそれだけのこと。
室「かっこつけてても意味あらへんで」
車のエンジンがかかる。
室「ま、どうしてもそうしたいんやったら俺からは何も言わんわ」
A「…先生、ありがとうございます」
―軽音部の初ライブまで、あともう少し。
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
