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素直で明るい福本くん。
彼の真っ直ぐな性格は周りの人間を太陽の如く照らす。
福本「俺らとバンドやってくれてほんまにありがとう」
軽音部に入らなければ福本くんと深く関わることなく3年間を終えていたと思う。
きっと彼が私を知ることも私が彼を知ることもなく卒業を迎えていたはず。
入部前は存在こそ認知していたものの会話を交わしたことすらなかった。
それなのに今こうして2人で下校しているのだから、出会いというのは本当に不思議なものだ。
重ねる毎に運命は変わり、新たな未来を作っていく。
A「…うん。私も楽しくやれてるし…ありがとう。」
何だか照れくさい。
だけど彼は一切恥ずかしがる様子を見せずにニッコリと笑った。
私なんかよりずっと可愛らしい顔立ちに暫く見とれていると、前方から自転車のライトが私達を照らす。
「大晴？」
「ほんまや、大晴や」
福本「お〜！お疲れ！」
福本くんのクラスメイトらしき女子生徒2人がブレーキを踏んだ。
咄嗟に他人のフリをしようとしたものの夜道には私達しかおらず、既に手遅れ。
「部活帰り？」
福本「うん、2人は？」
「うちらも今帰りやで」
福本「そっか、気いつけてな！」
なるべく存在感を薄くしようと黙り込むも、女子2人の視線は明らかに私へと向けられている。
絶対に目を合わすまいとあさっての方向に視線を動かした。
「今からファミレス行くけど大晴も来る？」
何となく察してはいたものの、その言葉で確信した。
2人のどちらかが福本くんに思いを寄せているのだと。
福本「や…今日はええわ！」
「何で？」
福本「俺Aちゃん送ってかなあかんし」
A「えっ」
思わず2人と目を合わせてしまった。
A「…いやいや！ええよそんなん！1人で帰れるし！」
福本「けどもう暗いし…」
A「ほんまに！ほんまに大丈夫やから！」
必死に首を横に振るも、福本くんは譲らない。
福本「いややっぱあかんよ！女の子なんやから。」
そう言われてしまうと何も言い返せなくなる。
福本くんの優しさが辛い。
「…ふーん、分かった」
福本「また今度…」
「いや、もう誘わんわ。」
福本「え？」
嫌な予感しかない。
「十分分かったから。」
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作者名：ﾋﾟﾝｷ | 作成日時：2023年1月17日 15時
