Aぇ!軽音楽部!!!!!! (ページ14)

今日:25 hit、昨日:28 hit、合計:88,371 hit

これぞまさに青春であるページ14

初めて全員が部室に揃ったのは本番5日前だった。

佐野「お〜！満を持してって感じっすね！」

小島「やっとやな。」

2人の言葉に頷く。

草間「終わったらラーメン行かん？」

福本「それめっちゃアリっすね！」

既に晩ご飯の話を始めた部員がいることはさておき、今こそ各自練習してきた成果を見せる時。

正門「ほな通します？」

末澤「そやな」

末澤先輩が皆のアイデアを集めて選んだ渾身の5曲。

私達軽音部にとって初めてのライブを成功させるべく、必死に練習してきた曲達。

たった5曲だけど、この5曲さえ上手くできれば―

末澤「…全然あかんな。」

セットリスト通りに演奏し終わった後、私は絶望した。

今まで頑張ってきた日々は何だったのかと疑問を抱いてしまうほど。

末澤「バラバラすぎるわ、お前ら。」

誰も何も言い返せずに黙り込んだ。

その日その日で変わる面々とその場で合わせて練習してきたせいでバランスが取れなくなっている。

佐野くんのパーカッションは安定しているはずなのに時々リズムが崩れるのもきっとそのせい。

各々ミスが目立つ部分、練習が甘い部分を抜きにしても良い演奏とは言い難い。

佐野「…ちょっといいですか？」

末澤「ん？」

遠慮がちに手を挙げた佐野くんが楽譜に視線を落とした。

佐野「…多分、2曲目サビ前から大晴くんがズレてます」

福本「えっ…ほんま？」

佐野「それから、3曲目のAメロは小島くんのキーボードを強調した方が綺麗っすね」

小島「3曲目Aメロ…あっ、ここか。」

佐野「あとラストの曲に関しては僕がミスりました！ごめんなさい！」

流石佐野くん。

アドバイスに一切の嫌味がない。

佐野「ここのアレンジはもう少し分かりやすくして…あ、正門くんのギターソロは完璧でした！」

正門「あ、ほんま？良かったあ」

絶望が希望に変わっていく。

上手くいくような気がしてならない。

小島「なんか…ええなあ。」

草間「何が？」

小島「青春感じません？」

福本「それちょっと分かるかも」

演奏を終えた直後の沈黙が嘘のように空気が和んでいく。

正門「1曲ずつ重点的にやりましょか」

末澤「そやな！」

その日の練習は夜まで続いた。