番外編《おめでとう2016年version》 ページ22
生き物は皆、誕生日がある。命が芽生えた記念日。その日を境に1つずつ歳を取る。
国も同じようなものだ。定義は決まっていないが、その国が完全に成り立った日を私達はその国の誕生日と定めている。
そして今日、2月11日は菊の誕生日である。建国記念日として日本人の間では祝日となっている。
いつも仕事詰めの菊にも休んでほしいしね。
(菊のとこに遊びにいこーっと!)
私、Aにとっても菊は自慢の国だ。世界でも犯罪なども少なくて、比較的平和な方である。教育制度や、税金などもしっかりとしていて、とても優秀な国なのだ。
私が東京の街並みを堪能しながら歩いていると、前方に見えるのは…
(菊みーっけ!)
タタタッと足音を殺しながら早足で菊の背後に走り寄る。
そして、パッと菊の両目を自分の両手で塞いでみる。
「うわっ!…だ、誰です?」
かなり焦り気味の菊に少し、笑いが漏れる。
「さぁ、誰でしょう?」
私がそう言うと、安堵のため息を吐きながら「Aさんでしたか…驚きましたよ…」と言った。
「えへへっ。脅かしてみたくなってね。」
そんな私に苦笑をする菊。
彼といると、本当にどちらが歳上なのかわからなくなってくる。
そんなこと、耀も言ってたなぁなんて思いながら口を開く。
「菊、お誕生日おめでとう!」
私は菊の家の国花である桜を型どった飴細工を差し出した。
それを見たとたん、菊の目はキラキラと輝いた。
「あ、ありがとうございます!…大切にしますね。」
まさか、保管するつもりじゃ…
「ちゃんと食べますよ。」
「あ、はい。」
そのあと、私達は二人でフラフラと歩いていた。のどかな風が心地よい。
とある公園のベンチに腰掛け、話を始める。
「ここまで私を育ててくれて…本当にありがとうございます。」
「こちらこそ…ここまで育ってくれて嬉しいよ。」
本当に彼にはここまで平和な日本という国を作ってくれたことに感謝をしている。
「……生まれてきてくれて、ありがとう。」
思わず呟いてしまったが、これは本音だ。
菊は少し驚いた顔をし、そのあとにふっと微笑み、言った。
「こちらこそ、ありがとうございます…これからも、よろしくお願いします。」
私達の間を春の風が駆け巡った。
そろそろ、桜の季節がやって来る。
H28 2/11
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紀田日和(プロフ) - TATさん» コメントありがとうございます!続編にも行きましたので、これからもよろしくお願いします! (2016年3月21日 21時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
TAT(プロフ) - 話が素敵でみはいってしまうほどいい話なので頑張ってください!!(^▽^) (2016年3月5日 22時) (レス) id: 9358c251dd (このIDを非表示/違反報告)
ふにゃこ(プロフ) - 最初は設定に驚きつつ読んでいましたが、気付ば一気読みしていました!今後がどうなるのかすごく楽しみです!!このコメを見ている頃にはもう終わっているのかもしれませんが、テスト、頑張って下さい。 (2016年2月18日 0時) (レス) id: a9be79f543 (このIDを非表示/違反報告)
紀田日和 - 亜里沙さん» 読んでくださり、本当にありがとうございます!飽き性な私なのでもしかしたら…いや、考えたくはないですが、続かないかm((((…いえ!そんなことはしません!!絶対に完結させますので、ぜひこれからもよろしくお願いします! (2016年2月11日 0時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
亜里沙(プロフ) - 読んでいくうちに泣いてしまいました。(本当です)その後に起きる次の大きな戦争まで考えたらつい…。いきなりこんなコメしてすいません。これからも楽しみにしています (2016年2月10日 19時) (レス) id: 289ef2f364 (このIDを非表示/違反報告)
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