《世界は案外変わってないようです》 ページ17
私は今日はここに泊まることになった。部屋の準備をしてくれたアーサーには申し訳ないが…今戻っても、夜中になってしまう。
「Aちゃんが泊まってくれるの、久しぶりだから嬉しいなぁ〜」
フェリシアーノと二人で私の寝床を準備している。
ここは昔、ローマ帝国が滅んでしまってからしばらくの間、私が二人の面倒を見ていた頃に使っていた部屋だ。
『Aお姉しゃん!』
不意に無邪気に私を呼ぶ声を思い出した。
「Aちゃん…?ぼーっとして、どうしたの?」
フェリシアーノが声をかけてくれた。
「ううん。何でもない。」
私は横に首を振ってそう言う。
「…この部屋、懐かしいよね…」
フェリシアーノは懐かしそうにそう呟いた。
この部屋を眺めるあなたの瞳には今、何が映ってるの?
私とあなたが過ごしてきた時間を思い出してくれたのなら嬉しいや…
また、あの頃みたいに…何て、何度願ったことか…
私は欲張りなんだよ。きっと。…だって、みんなが成長してくれることを願っているのに…どこか、昔に戻れたらって思ったりしてるもん。
「この部屋…懐かしいな…」
ドアが開き、ロヴィーノが入ってくる。キョロキョロ部屋を眺めている彼の瞳はどこか、輝いて見えた。
「でしょー?…ねね、今日はみんなで一緒に寝ない?」
フェリシアーノは名案だ!と言いたげな顔で私とロヴィーノを交互に見る。
「バカか!?俺ら3人入れるわけねぇだろ!!」
まぁ…確かにキツくなるかもね…
フェリシアーノはふてくされた様に頬を膨らませる。
「まぁ…また時間がある時に広い場所でみんなでシエスタしよ!ね?」
私がそう言うと、二人は満面の笑みで頷く。
「それなら、アントーニョ兄ちゃんも呼ぼうよ!」
「何でアイツ呼ぶんだよ!?」
ロヴィーノは否定しつつも嬉しそうな顔をしている。
二人の様子を見て私は安心した。…あぁ、みんな変わってないや…って。
どれだけの年月が経っても、きっとみんな変わってないんだろうな…
変わってないけど…
やめよ。暗いことは今は考えたくないわ。
「さぁ、もう今日は遅いからみんな寝ようねー」
「わぁ、もうこんな時間…夜更かしは肌に悪いからね…Aちゃんも早く寝るんだよ!」
「そうだな。んじゃ、Buorna notte。」
「うん。Buorna notte。」
彼らは部屋を出ていき、私は布団に潜り込んだ。
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紀田日和(プロフ) - TATさん» コメントありがとうございます!続編にも行きましたので、これからもよろしくお願いします! (2016年3月21日 21時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
TAT(プロフ) - 話が素敵でみはいってしまうほどいい話なので頑張ってください!!(^▽^) (2016年3月5日 22時) (レス) id: 9358c251dd (このIDを非表示/違反報告)
ふにゃこ(プロフ) - 最初は設定に驚きつつ読んでいましたが、気付ば一気読みしていました!今後がどうなるのかすごく楽しみです!!このコメを見ている頃にはもう終わっているのかもしれませんが、テスト、頑張って下さい。 (2016年2月18日 0時) (レス) id: a9be79f543 (このIDを非表示/違反報告)
紀田日和 - 亜里沙さん» 読んでくださり、本当にありがとうございます!飽き性な私なのでもしかしたら…いや、考えたくはないですが、続かないかm((((…いえ!そんなことはしません!!絶対に完結させますので、ぜひこれからもよろしくお願いします! (2016年2月11日 0時) (レス) id: 588f4773fd (このIDを非表示/違反報告)
亜里沙(プロフ) - 読んでいくうちに泣いてしまいました。(本当です)その後に起きる次の大きな戦争まで考えたらつい…。いきなりこんなコメしてすいません。これからも楽しみにしています (2016年2月10日 19時) (レス) id: 289ef2f364 (このIDを非表示/違反報告)
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