溺れた海賊旗③【ONE PIECE 短編集】 (ページ8)

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キャプテンはかっこよくて、何もかも完璧。
私がキャプテンを好きな理由なんて簡単だ。

私がキャプテンを愛すために生まれた女だから。(違

「キャプテン…！」

キャプテン歩くの速すぎ！！！
くそう、脚なっがいんだよ！好き！！

「きゃぷ…ま、待って…」

やっと見つけたキャプテンの背中。
おいおい、余裕そうに歩いてるのに私が走るより速いってどうゆう事。

これが生まれ持った才能…

「きゃあああ！！！私のバック！！！」

キャプテン目掛けて真っしぐらに走る私の前に現れたら全身真っ黒のいかにもひったくりしてますって男。

止めようと両腕を広げた瞬間、男の手元が光った。

「邪魔だァ！！」

「な…っ！」

ナイフ。
それを頭で理解したとほぼ同時に腹部に激痛が走った。

「う、うわあああ！！！」

周りの叫び声で自分の腹を見る。
ジワジワと赤いものが体内から流れてる。

「あ、死ぬ…」

死ぬと分かった瞬間、脳が冷たくなった。

キャプテン、止まってくれなかったな。
今日の晩ご飯なんだろうな。
女の人のバック取り返せなかったな。

そんな事が頭をよぎってそのまま力が抜けた。

「…きゃぷてん」

今日もキャプテンはイケメンだった。
きっと明日もイケメンだろう。

「…ッA！！！」

もしかして死ぬ前って良い妄想出来るの？
キャプテンが焦って私を抱きしめるなんて…贅沢。

ほんと、好き…

「何してんだよ、お前…！」

「げほっ…きゃぷて…」

「おい、喋るな。今すぐ船に戻る」

焦るキャプテンイケメンすぎて周りの野次馬が恋に落ちちゃうわ…

言っておくが私の方が先だ。

なんて思ってるうちに瞼が重くなってくる。
血が止まらない、痛い。

「…結婚して」

「黙れ、馬鹿」

その言葉を聞いてすぐ意識を手放した。