溺れた海賊旗③【ONE PIECE 短編集】 (ページ6)

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「キャプテン、今日は私の命日です」

「そうか」

島に上陸した私はキャプテンの荷物持ちに選ばれた。

「泣きながら荷物持ちしたいって言う奴初めて見た」

「ああ…俺もだよ、シャチ」

因みにペンギンとシャチとベポも付いてきてる。
ふたりきりにさせてくれ。

「なんで着いてきたの？」

「悪いかよ」

「当たり前でしょ！？」

ペンギンにそう言ってキャプテンの隣を歩く。
きゃ、キャプテン…歩くの早すぎ。

キャプテンの長い脚と私の短い脚では同じペースで歩くのが難しいらしい。

「ひぎゃっ！？」

変な声と共に転びそうになった。
だけどそれを受け止めてくれたのは…

「大丈夫か？」

「…有難いんだけどね？」

「何だよ」

キャプテン…ではなくペンギンだった。

「普通ここはキャプテンが受け止めて恋が始まるもんじゃないの！？」

「キャプテンならもう本屋入ってったぞ」

「うおおおん！！キャプテぇぇン！！」

あなたに私は見えていないのですか…

「可哀想だね、A…」

「ああ。さすがに不憫だな」

ベポとシャチに"可哀想""不憫"なんて言われた私はもう地面に座り込みたかった。

片想い辛…

「まあ、片想いでもいいんだけど」

そう呟いて気持ちを立て直す私はまさに不憫だ。

「キャプテンのお荷物をお持ちしなくては…！」

「待てよ、A」

全力ダッシュの構えをした瞬間、ペンギンに腕を掴まれた。

「お前、何でそんなに一途に想えるんだよ」

"相手にされてないのに"なんて言われた。
心なしかペンギンの顔が暗い。

「おま…っ！今かよ…」

「黙ってろ、シャチ」

「なになに？」

3人で喋るなよ。
ベポも何のことか分かってないみたいだけど私にも分からん。今とは…？

「俺なら…お前を大事にする」

「え？なになに、ふふ…私の事好きなの？」

冗談だと思った。