溺れた海賊旗③【ONE PIECE 短編集】 (ページ15)

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99本目の薔薇【サンジ】ページ15

『あの…オススメの花と薔薇を一本いただけますか？』

サンジくんとの出会いはごく普通だった。
花屋の私と道路を挟んで前にある大学に通うサンジくん。

『薔薇だけは別で』

『かしこまりました』

一本の薔薇を別に包んで渡す。
お金を払うとその薔薇を私に差し出して来た。

『え…？』

『お姉さんに、プレゼントです』

"貴女の店の薔薇ですが…"なんて照れ臭そうにするから思わず笑みが溢れた。

『ありがとう』

これが全ての始まり。

・

「Aさん…今日も来たよ」

「サンジくん。いらっしゃい」

あの日から毎日、雨の日だって大学が休みの日も店が開いてる限り通い続けてくれるサンジくん。

「お母さんは大丈夫なの？」

「え？あ、ああ…最近良くなってきてるよ」

サンジくんは病気のお母さんのために毎日花を買って持って行ってるんだとか。

こんな立派な息子がいてお母さんは幸せだろうなあ。

「今日もオススメの花と薔薇を貰えるかな」

「じゃあ、少し待ってて」

サンジくんは店に来るたび"オススメの花と薔薇を一本"買っていく。

「はい、どうぞ」

「ありがとう、Aさん。今日も薔薇を受け取って欲しい」

「ふふ、ありがとう」

そして必ずその薔薇を私にくれる。
今日で何本目かな…？

「また、明日も来るよ」

「うん。待ってる」

サンジくんは良い子だなあ。
見てて微笑ましい。

毎日、私に薔薇をくれるけど彼女いないのかな。

あんなに紳士なら彼女がいてもおかしくない。

「って、なに考えてるの、私…」

サンジくんに貰った薔薇を見てそう呟いた。

いつからか、サンジくんが来てくれる少しの時間が私の毎日の楽しみになってるんだ。