検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:96,209 hit

ページ30

「俺がいるよ」




そう言ったロボットのエース。
優しく私の頰に触れて涙を拭った。

ああ、私…泣いてたんだ。




「…うん。そうだよね」




____『なあ、A。一緒に来ねェか』


____『ふふ、無理だよ。私に海賊は出来ない』


____『…そっか。じゃあ俺の事、待っとけよ』


____『他の人なんて興味ないよ』





今はもう霧がかかったような記憶。
儚くて手を伸ばしても掴めない。




「泣くなよ」


「ん…っ」




私を抱きしめてそう言った。

ねえ、待っててって言ったじゃん。
私は今でも待ってるのに。




「A」




壊れたの、私の心。
もうどうしようもないくらいに。




「ねえ、キスして」


「…ん」




エースの首に腕を回してキスを強請る。
人間の皮膚を再現されたロボット。

柔らかくて暖かくて、悲しくなった。




「お願い、もうひとりにしないで…」


「うん。うん…大丈夫」




私の体を包み込むようにしてそう言ったロボット。


ねえ、エース。わかってる?
あなたのせいだよ。

置いていくなんて酷いじゃない。




「泣くなよ」




涙を拭いて顔を上げるとそう言われた。




「え?」


「…」




何も言わなくなったかと思うと一瞬、目が暗くなる。




「エース…?」


「…あ、どうした?」




…戻った?
何だったんだろう、今一瞬…変だった。




「…帰ろうか」




不思議に思いながらも手を取って来た道を帰った。







「晩ご飯は俺が作るよ」


「ありがとう」




お言葉に甘えて椅子に座って待つ。
写真立ての中のエースは笑顔。




「会いたいなあ、エース」




ただそれだけ。
叶うなら、死んでもいい。




「出来た」




そう言ってもってきたエース。
受け取って食べ始める。




「美味しい」


「それは良かった」




そう言いながらキッチンに向かうエース。




「晩ご飯は俺が作るよ」


「…え?」




どうしたの?

fin.→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
168人がお気に入り
設定タグ:ONEPIECE , 短編集 , 甘い、切ない   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

saki(プロフ) - ちいず 。さん» ありがとうございます! (2020年8月26日 22時) (レス) id: aca7ca3bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ちいず 。 - sakiさん» わかりました!少しお待ちください(^^) (2020年8月26日 21時) (レス) id: 1eb0768316 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - ちいず 。さん» はい! (2020年8月26日 20時) (レス) id: aca7ca3bb5 (このIDを非表示/違反報告)
ちいず 。 - sakiさん» わかりました(^^)全員を同じ物語に登場させるという事でよろしいでしょうか? (2020年8月26日 20時) (レス) id: 1eb0768316 (このIDを非表示/違反報告)
saki(プロフ) - ちいず 。さん» マルコ・エース・サッチ・ハルタ・イゾウ・シャンクス全員で甘々な感じでお願いします。何人かにしぼってもらっても構いません。 (2020年8月26日 16時) (レス) id: aca7ca3bb5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちいず 。 | 作成日時:2020年8月10日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。