第30話 ページ34
五日目の夜
もうすぐ出口に辿り着くので、ひとまず今夜は休んで明日の朝に出発する事になった。荷物を整えていると隣にいたギルダが何やら深刻な顔をしていたので声を掛ける。
ロ『ギルダ、何か考え事か?』
ギ「あっいや…計画のズレについてちょっと…。」
ラ「ズレ??なんでだ??」
ギ「考えていたの。ソンジュが教えてくれたあの“昔話”…“人間の世界が別にある”のは希望よ。
でも鬼側の世界に人間の社会がないのは私達の計画にとって不利だわ。期待していた人間の集落がない……。」
そうだな。外の人間に紛れる事もできないし、何よりフィル達を迎えに戻るにも今の人数じゃお世辞でも足りない。ギルダの言う通りこれからどうするか考えておかないと……他の農園からの脱走者はいないのかとエマがソンジュに尋ねるが、残念ながら聞いた事がないし、いたとしても一人や二人と少数だろうとの事。更に最悪な事に私達が育ったような高級農園はごくわずかで存在する農園のほとんどが量産農園。その量産農園とは安価量産型の農園。劣悪な環境でただ生かし太らせ出荷する。そこで生まれた人間は名前もなく言葉も話せない。意思というものもないから「逃げよう」なんて考えられない。人が牛や豚にしてる事と同じかと最初は思ったけどそんなものじゃない。
ロ『思ってたよりも胸糞悪い。向こうにそんな意思がないなら仮に俺達が助けてもその子達にとっての幸せと言えるのかも怪しくなる。言い方は悪いけど云わば鬼達の“操り人形”だしな…。』
望みは薄い…けど仕方ないからそのごくわずかな農園の出身者を探す他ない
ソ「脱走者には期待出来ない……だが“盗難”ならば稀に聞く。」
「「「!?」」」
ロ・デ「『盗難？』」
ソ「人間食いたさに農園を襲って盗む“鬼”はいる、ごく稀にだがな。使えるとしたらそこだと俺は思うね。ただしあくまで使い方次第だが、何にせよ高度に知能を持った…。お前達みたいな人間は農園外では他にいない。それが現実。少なくとも俺が知る限りではな。デルタ達は例外だがな。」
思ってた以上に手厳しい現実に思わず頭を抱えたくなるがふるふると首を振って違う事を考える
悩んでる時に考えると気が紛れて良いって親父が言ってたし試してみよう。
ロ『よし。歌うか。』
デ「お、兄さん歌うの上手いから聞きたいな。」
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零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月3日 13時) (
レス) @page41 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
pjaj68kn5eshmbz(プロフ) - いちご猫さん、コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2021年5月24日 6時) (レス) id: 5337123690 (このIDを非表示/違反報告)
いちご猫 - お話も読みやすくて楽しく読ませていただきました！これからも更新頑張ってください (2021年5月24日 4時) (レス) id: c95597825f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナリダガルダ | 作成日時：2021年5月15日 19時
