家族のカタチ (ページ5)

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5月になり、毎年恒例のお祭が開催された。

年に一度の祭りとあって、市内から人が集まっている。

7時になった今は、カップルや学校が終わった学生などが多い。

みんなが友達や恋人と祭りを満喫しているのに…

「なんでシゲと歩いてるんだろうね。」

「パトロールしつつ、学校側と警察の連携を強めるためだろ。」

私は高校の職員としてパトロールに駆り出されていた。

私のクラスの生徒が1番問題を起こすだろうと言われてしまっては、返す言葉もない。

なぜかウチのクラスにはワルっぽい奴が多いから。

根は良いんだけどね。

「あ！A！！」

突然名前を呼ばれ、辺りを見回す。

「こっち！」

肩を叩かれて振り向くと、今井と岸田、近藤の担任している3人が立っていた。

1ヶ月のうちに距離が縮まり、こうして気軽に声を掛けてくれるのが嬉しかったりする。

「え？なに？隣にいるの彼氏？ありえねー」

「いやいや、Aにこんなイケメンの彼氏いる訳ないだろ。」

「兄貴？だったら寂しすぎんだろ。」

「全員黙れ。」

好き勝手言い過ぎだし！

そりゃ、今はいないけど、その気になったら作れるんだから！

「この人は生活安全課の刑事。
まだ会ったことなかった？」

「普通の高校生は、そうそう生活安全課の刑事に会わねーよ。」

シゲのツッコミはスルーして、気になってたことを聞いてみる。

「ところで、その子親戚の子？
あと、犬拾ったの？」

岸田はまだ幼児くらいの、泣いた跡のある男の子と手を繋いでいるし、近藤は小さな柴犬が入ったダンボールを抱えている。

「いや、迷子みたいでさ。
りんご飴食べてようやく泣き止んだところ。」

「この犬が入ったダンボールのところで泣いてたから、犬も一緒に連れてきたんだよ。
つーことで、後は警察にお任せで。」

二人から男の子とダンボールを渡される。

「この子の名前は？それと、見つけた場所も教えてくれない？」

シゲが刑事らしくメモを取る。

「やべー、ドラマみたい。
祐くんって言ってたぞ。そこの鳥居のところで見つけた。」

「じゃ、頼んだぞ！」

男の子とワンコをバトンタッチすると、3人は人混みの中に消えていった。

「とりあえず、本部に行くか。
もしかしたら親御さんが待っているかもしれないし。」

男の子と手を繋ぎ、本部へと向かった。