中山道さん3 ページ6
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元東武鉄道伊香保軌道線は同じく元東武鉄道矢板線、元東武鉄道
熊谷線と共に、廃線での揃いのジャージを着て、黒い手袋をして現
役路線達を眺めていた。
「あ、伊勢崎がいるー。相変わらず、熱いねぇ」
伊香保が手で風を送る。微風であるそれはないよりましな程度だ。
暑いがどうすることもできない。伊香保はチラリと隣に視線を流
した。隣にいたのは矢板で、彼はハハッと笑ってから口を開く。
「俺達の方が暑いことに気が付こうよ」
「仕方ねぇよ。見せるわけにはいかねぇだろ」
“あちー”っとだらけている熊谷は、ある一点に目を止めると伊
香保と矢板の間から声を上げた。驚きに目を見開いて、その声は震
えている。
「に、日光が、髪を切っている……だと?」
それに反応して伊香保と矢板は熊谷の示す方を見た。イケメンに
ビフォーアフターをしている仲間の姿に唖然と彼の方を見る。
そんな、ひそひそと話している彼等に中山道は近付く。
それに気が付いた伊香保達は中山道に礼を取った。中山道はそれ
に笑って手で応える。その手にも黒い手袋がはめられている。
彼女は静かに周りを見回して、廃線組が全員いることを確認して
声をかけた。彼女の集合の声に廃線組は彼女の周りを囲う。中山道
はそれを静かに見回し、頷く。
全員同じジャージで、黒い手袋をしている。ジャージは首までち
ゃんと閉められている者が多い。閉められてない者も、長袖は着て
いる。短パンであるものも少なく、殆どが長ズボンを着用していた。
中山道は彼等の先頭に立ち、現役路線達の方へ向かう。
「……大宮? 緊張しているのか?」
中山道はふと目に入った青年に声をかけた。彼はピクッと反応し
たと思うと俯いて頷いた。しかし、それ以上は言わない。自分達の
未来がかかっているのだから。
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聖藍萌愛亜(プロフ) - ぴよっちさん» わかりました!読み返しながら待ってます。 (2017年1月22日 18時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 聖藍萌愛亜さん» コメントありがとうございます。返信にお時間が経ってしまって申し訳ないです……。続きが気になると言っていただけてとても嬉しいです!修正してからもう一度更新していこうと考えているので、よろしくお願いいたします (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 彩楓さん» コメントありがとうございます。お時間が経ってからの返信ご容赦ください。すごいと言っていただけてとても嬉しいです!修正して再び更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします! (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
聖藍萌愛亜(プロフ) - 青春鉄道にハマってから時間があまり経っていませんが、大好きです!とても面白くて続きが気になります……!無理をしない程度に、更新頑張ってください!! (2017年1月21日 23時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - はじめまして!青春鉄道だいすきになってから4年が経とうとしてる彩楓です!凄い小説ですね!私も見習わなくちゃ!これからも頑張ってください!! (2016年12月28日 10時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよっち | 作成日時:2016年1月10日 2時