中山道さん40 ページ43
・
彼は“はつかり”の言葉に驚いていたが、宇都宮が彼に促されて中に
入る。彼等は驚いた様子ではあったものの、酷く納得した表情をし
てみせた。それに宇都宮は納得がいかなかったが、そうも言ってら
れない事態だ。
――高崎か東海道が、中山道さんに会っている
どちらかが、彼女とコンタクトを取れたのは、間違いがなさそう
だ。これからの動きを考えてはいなかったが、中山道には会いたい
と宇都宮は思う。それが利己的なことだと分かっていても、どうし
ても会いたかった。
今まで我慢していた分、運動会の時、会えたのが相当堪えたよう
だ。我慢できないくらいの衝動に駆られる。
「で、こんなところに入ってきた現役路線は誰だって?」
首を傾げた“はつかり”に彼は「さぁ」と首を傾げた。肝心なところ
を中山道は伝えなかったらしい。だが、彼等には現役路線がいると
いうことが問題らしく、数を割り出さなくてはならないようだ。
中山道にコンタクトが取れたのならばと、宇都宮は口を開いた。
「一緒に来たのは3人だよ」
宇都宮の言葉にこの部屋にいた特急官が、揃ってこちらに向く。
その時に、宇都宮は一つ、気が付いたことがあった。
――この部屋、元特急官しかいない
全員が揃いの黒の詰襟、金の縁取りの二つボタンの制服を着てい
た。あの特急官の制服は、戦前戦後とそう変わらないと聞いている。
恐らく、戦前戦後の特急官がこの部屋に詰めているのだろうとあ
たりをつける。
元特急官がつめている場所だから、施設が明治大正風で、豪華な
装飾があったのか、と宇都宮は今になって、気が付いた。彼等は揃
って元特急官だ。優等列車など、自身にはほとんど関わりがないた
めか、迂闊だった。
こちらに東海道が来ていれば、彼はすぐに気が付いただろうに。
・
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
聖藍萌愛亜(プロフ) - ぴよっちさん» わかりました!読み返しながら待ってます。 (2017年1月22日 18時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 聖藍萌愛亜さん» コメントありがとうございます。返信にお時間が経ってしまって申し訳ないです……。続きが気になると言っていただけてとても嬉しいです!修正してからもう一度更新していこうと考えているので、よろしくお願いいたします (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 彩楓さん» コメントありがとうございます。お時間が経ってからの返信ご容赦ください。すごいと言っていただけてとても嬉しいです!修正して再び更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします! (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
聖藍萌愛亜(プロフ) - 青春鉄道にハマってから時間があまり経っていませんが、大好きです!とても面白くて続きが気になります……!無理をしない程度に、更新頑張ってください!! (2017年1月21日 23時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - はじめまして!青春鉄道だいすきになってから4年が経とうとしてる彩楓です!凄い小説ですね!私も見習わなくちゃ!これからも頑張ってください!! (2016年12月28日 10時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴよっち | 作成日時:2016年1月10日 2時