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中山道さん34 ページ37



 東海道本線は、夜、宇都宮線と高崎線を連れて宿舎を抜けていた。
 自分達の制服は、JR在来の中でも目立つ色だ。そのため、私服に
着替え、髪も整えた。人間らしい格好である。

 夕刻、IGRいわて銀河鉄道が、青い森に夜の元篠山鉄道の監視を
頼んでいるのを目撃した。廃線管理施設に伝言を伝えに行くという
内容ではないか。尾行する、件の施設を見つけるチャンスだと思っ
たのだ。今しかない。
 そう思ってつけてきた場所に、東海道は言葉を失った。

「……ヒッデェ」

 高崎が呟いた言葉に返す言葉もない。

 篠山鉄道は「衣食住はある」と言っていた。しかし、あんな廃屋
のような建物で生活をしているというのは、如何なものか。
 まるで、監獄のようだ。あんなところで、暑さはしのげないだろ
う。寒さも酷いはずだ。
 本当に、これで衣食住がある、と言って良いのか分からない。確
かに住めないことはないだろうが、明らかにこの時代に合っていな
い。人間達に肝試しだ、なんだと使われそうな場所だ。
 そんな場所で、あんな怪我を負った元路線達が生活しているとい
うのか。自分達も人間の一般的な生活よりも質素だろうと思う。上
官である自身の兄達はそれなりの生活をしていたり、させられてい
たりするだろう。だが、在来である自分達は、それなりに質素であ
る。高崎など、給料日前は金がないからと自炊するほどだ。

 それでも、これほどではない。

 エアコンも宿舎に完備されている。隙間風に身を震わせることも
ない。それなりの設備が整っているのだ。

「……どうやって入ろうか? 職員に化ける?」

 宇都宮は東海道の方を向いて問いかける。
 東海道は彼を見て少し考えると、IGRいわて銀河鉄道が、通って
行った門を見る。そこには門番が二人。

 どうしようかと顔を見合わせていたが、

「オイ、お前達こんなところで何してる?」

 後ろから声がかけられた。そちらを向けば、体躯の良い男が懐中
電灯を持ってそこに立っていた。ばれたか? と顔を見合わせた東
海道達に男は眉を寄せて口を開いた。



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設定タグ:青春鉄道 , 二次創作
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聖藍萌愛亜(プロフ) - ぴよっちさん» わかりました!読み返しながら待ってます。 (2017年1月22日 18時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 聖藍萌愛亜さん» コメントありがとうございます。返信にお時間が経ってしまって申し訳ないです……。続きが気になると言っていただけてとても嬉しいです!修正してからもう一度更新していこうと考えているので、よろしくお願いいたします (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 彩楓さん» コメントありがとうございます。お時間が経ってからの返信ご容赦ください。すごいと言っていただけてとても嬉しいです!修正して再び更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします! (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
聖藍萌愛亜(プロフ) - 青春鉄道にハマってから時間があまり経っていませんが、大好きです!とても面白くて続きが気になります……!無理をしない程度に、更新頑張ってください!! (2017年1月21日 23時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - はじめまして!青春鉄道だいすきになってから4年が経とうとしてる彩楓です!凄い小説ですね!私も見習わなくちゃ!これからも頑張ってください!! (2016年12月28日 10時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよっち | 作成日時:2016年1月10日 2時

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