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中山道さん24 ページ27



「……東海道。どうした?」

 それに平然と返す中山道は、やはり凄いと思いながら成り行きを
見守る。他の廃線達も同じで、彼女と東海道本線の間に入ろうとも
思わない。

 何故なら、彼の両脇には、東北本線と高崎線が控えているのだか
ら。国鉄の本線2本と稼ぎの多い幹線が、揃って来ているのだ。

 恐ろしい。

「そいつ等、俺等に引き取らせてくれねぇか? どうしてもダメっ
てーんなら、ソイツだけでいいから」

 そう言って示されたのは、夷隅が連れている男。

 この男がこの集団の鍵だと気が付いたから自分が連れているのだ
が、彼等はそんなものが欲しいと言うのか。何をたくらんでいるの
か、廃線揃って警戒で緊張の糸が張る。自分達を陥れようとしてい
るとは思わないが、何を考えているのか。

 中山道も不思議に思っているのか首を傾げた。

「なぜだ」

 端的に問いかけた彼女にスゲーと思いながら見守る。この男達を
コイツ等に渡すわけにはいかないのだ。なぜ、あれだけの人数がい
ながら自分達にブッ倒れる奴がいないのか、古傷が広がるだけで済
んだのか。

 そんな事、ある程度一緒に過ごしていれば分かる。
 一切、弱点をついてこなかった。

 ――コイツ等の殆どは、ただただあの男に使われた仲間だからだ

 だから、自分達の怪我はこれだけで済んでいる。そして何より、
中山道が一切怪我をしていない。仲間達が、中山道に手を出せるわ
けがない。自分が怪我していないのは、彼等にとって護身術の師匠
が自分だからだ。
 怪我させられないようする手段を知っていることを、知っている。
だから、安心して攻撃ができる。彼等の攻撃パターンは分かりきっ
ていることだからだ。

「なんでって、中山道さんに攻撃しなかったとしても、僕はちょっ
と興味あるんですよ、中身。もしかしたら、何か糸口があるのかぁ
って思って」

 だから、それだけでいいので僕達にください。

 そう言った東北本線に、夷隅は純粋に怖いと思った。笑顔で言い
切るのもそうだが、やはり、狂っていると思った。そして、狂って
いることで隠れているが、薄々自分達の環境に気が付いているので
はないか。


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聖藍萌愛亜(プロフ) - ぴよっちさん» わかりました!読み返しながら待ってます。 (2017年1月22日 18時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 聖藍萌愛亜さん» コメントありがとうございます。返信にお時間が経ってしまって申し訳ないです……。続きが気になると言っていただけてとても嬉しいです!修正してからもう一度更新していこうと考えているので、よろしくお願いいたします (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよっち(プロフ) - 彩楓さん» コメントありがとうございます。お時間が経ってからの返信ご容赦ください。すごいと言っていただけてとても嬉しいです!修正して再び更新したいと思いますので、よろしくお願いいたします! (2017年1月22日 17時) (レス) id: a592d04503 (このIDを非表示/違反報告)
聖藍萌愛亜(プロフ) - 青春鉄道にハマってから時間があまり経っていませんが、大好きです!とても面白くて続きが気になります……!無理をしない程度に、更新頑張ってください!! (2017年1月21日 23時) (レス) id: 1ec8964610 (このIDを非表示/違反報告)
彩楓(プロフ) - はじめまして!青春鉄道だいすきになってから4年が経とうとしてる彩楓です!凄い小説ですね!私も見習わなくちゃ!これからも頑張ってください!! (2016年12月28日 10時) (レス) id: e14b6601c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴよっち | 作成日時:2016年1月10日 2時

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