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気が向いた時には事務所から送られてきていたファンレターを沢山読んだ。
それは色んな言語で書かれていて、母語の日本語と今使っている韓国語、それから勉強した英語は辛うじて読めるけれど、他の言語は全くと言っていいほどわからず。
翻訳機で訳してみても、よくわからない文章が出てくるだけだった。
それでも愛がたくさんこもっていて、たまに日本語や韓国語で書かれていることもあった。
私のために勉強してくれたそうだ。
中にはその国の観光地の写真を同封してくれているものまであった。
『わぁ、綺麗…。』
その景色に感動して直接見に行きたくなって、思い立ったが吉日。
すぐに飛行機のチケットと宿を予約して韓国を飛び立った。
初めに行ったのはフランスだったと思う。
それから、英語を勉強しながらツアーで訪れた国を1からまわっていった。
コンサートのために色んな国に行ったけれど、忙しくてなかなか観光もできなかったから。
美味しい料理もたくさん食べて、優しい人たちに出会えた。
韓国ほど私の認知度は高くないし、帽子とマスクを被っていたらあまり身バレもしなかったから、アイドルだったことを忘れそうになる。
それくらいがちょうど良かった。
他のメンバーが続々と個人のSNSを立ち上げていく中、それでも私は何かをする気にはなれなくて。
ハウンと旅行に行った時の写真や、5人のご飯会の写真が投稿されるたび、ファンの子が私にたくさんコメントを送ってくれていたらしい。
たまにネットニュースになっているのを見たりもした。
「私が投稿したのにオンニのことばっかり！」と可愛いハウンは拗ねていた。
芸能界が嫌いになったとか、そういうわけではない。
けれど、あそこに戻りたいとも思わなくて、もう少しこのゆったりとした時間を楽しみたかった。
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作者名：をーみん | 作成日時：2021年5月4日 23時
