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大きな窓からしんしんと降り積もる雪を眺める。
室内に暖房は効いているのに、その景色を見ているだけでぶるッと体が震えた。
「ジョングガ〜！」
今日は春に発売される雑誌の撮影で、今は休憩中だった。
世の中はバレンタインデーで浮かれている。
俺たちも、まぁ、貰えないわけではないけれど、好きな人からもらえないなら意味ないでしょ。
「ねぇジョングギ！！何見てんの〜？？」
「うおっ？！」
突然肩の上からからひょこっと顔を出すテヒョンイヒョンに驚いて、危うくスマホを落とすところだった。
「ちょっとヒョン！」
「俺さっきから呼んでたのに気付かないジョングギが悪いんじゃん！」
ぷんすかぷんすか口を尖らせて怒っているが、正直全然怖くない。
むしろちょっと可愛いくらいだったから言い返す気もなくなった。
「…また見てるの？それ。」
「あぁ、まぁ、はい。」
急いで掴んだその画面には、あのカウントダウンライブでの最後の挨拶の動画。
元旦に公式チャンネルから投稿されたものだ。
テヒョンイヒョンは悲しそうに眉を八の字にした。さっきまで怒っていたのに、忙しい人だな。
かっこいい衣装を着せてもらいしっかりとメイクを施したヒョンは、黙っていれば見た目は人間味がなくただひたすらに美しいのに、口を開けば子供みたいになるから不思議だ。
ひたすら流れ続ける動画にもう一度視線を戻す。
メンバーは綺麗な笑顔を浮かべて、1人1人丁寧に挨拶をしていた。
きっとグループで活動していた約7年間を、それぞれ頭に思い浮かべているんだろうな。
「ほんとにいなくなっちゃったね。」
隣に座ったテヒョンイヒョンがぼそっと呟いた。
大きなソファでぎゅっと身を寄せ合う。
ARCANAが活動休止をして1ヶ月が経った。
2017年になった途端、彼女たちは一切の活動を休止し芸能界から姿を消した。
色々遭遇情報も出ているけれど、本当かどうかの証拠もない。
事務所も黙秘を決め込んでいて、メディアもお手上げ状態だ。
「いつか、会えるといいね。」
「…はい。」
とかなんとか、俺たちは悲観的に考えすぎていたのかな。
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作者名：をーみん | 作成日時：2021年5月4日 23時
