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当の俺はというと、思いっきり殴られたような衝撃を受けて若干頭がパニックを起こしている。
「えっ待ってください、芸能界引退って、え？」
「だってそうじゃん、今後の活動も何も決まってないし。普通にあり得る話でしょ？」
確かに。ホビヒョンの言葉に頷くしかない。
でもそんなこと考えたこともなかった。
芸能界にいる前提で、会えなくても会いにいけばいいなんて考えていたのに。
「ずっとアイドルやってたら、一般人に戻りたいとか思うんじゃないか。」
シュガヒョンも眉間にシワを寄せてそう言った。
まぁ、そう言ってアイドル辞めていく人も多いから。
「…そんなの考えたことなかったです…。
SUIさんはソロでやっていくんだって勝手に思ってました、」
「あぁ、彼女曲作れるもんな。」
「はい、だからてっきりそうなると、」
「聞けばよかったじゃん！この先どうするんですか、て。」
「多分俺なんかには教えてくれないですよ、ファンの人にも教えてないんだから。」
それもそうか、とジミニヒョンが肩を落とした。
ここまで情報が世に出ていないということは、それぞれが隠し通しているということだ。
少ししか交流のない俺に教えてくれるとは思えなかった。
「んー！まぁ大丈夫でしょ！また会えるよ！」
ショックで俯く俺に気遣って、明るくそう言ってくれたホビヒョンのおかげで少しは不安も小さくなったけれど、まだ頭をぐるぐると回る1つの可能性。
ファン思いな彼女がそんな簡単に芸能界から消えるとは思えない。
でも、だからこその1年間だったのかもしれない。
そんな不安は日に日に増して消えることはなかった。
多忙なスケジュールをこなしながらも頭の隅で存在感を放つそれ。
気がつけばもうあと数時間で年を越すという頃だった。
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大晦日にARCANA最後のカウントダウンライブは有観客で行われ、オンラインでも配信された。
俺たちは仕事で見れなかったけれど、どこの局もいつもより騒ついていて。
その日のSNSはARCANAで埋め尽くされ、韓国内のトップニュースを飾った。
明日からいないなんて、嘘みたいだ。
「ほんとに休止しちゃうのかな。」
控え室で泣きそうな顔をするテヒョンイヒョンに、誰も何も言えなかった。
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そして2017年元旦、彼女は、彼女たちは、芸能界から姿を消した。
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作者名：をーみん | 作成日時：2021年5月4日 23時
