風紀委員長のわんこですが (ページ25)

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24匹目　ディーノ先生⑤ ページ25

ゴシゴシ

プールの底をブラシで擦るディーノさん。

「なあボス、本当に一人でやるつもりか？」

フェンス越しに見守っていたロマーリオさんが声をかけた。

「ファミリーのみんなにそこまで甘えられねぇだろ」

委員長から今回の件の責任を負わされ、ディーノさんはプールの補修を行うことになった。

私的には委員長も結構暴れまわっていたように思うけど、「あなたが変なものを持ち込んだのが悪い」らしい。

「…………よお、恭弥」

顔を上げ、プールサイドに現れた委員長……と、草壁さんと私に、唇を引きつらせながら挨拶をした。

委員長は草壁さんが用意した椅子に優雅に腰かけ、私はパラソルを組み立てる。

ディーノさんはそれをちらちらと見ながら作業に励んでいた。うわ、気まずすぎる……

「いただきます」

委員長はこれ見よがしにみたらし団子を食べ始める。

……これ、奪ったお土産じゃ

びしゃーっ

委員長の顔に水が直撃した。

透明な直線を目で辿ると、ホースの先をつぶしたディーノさんがいる。

「水もしたたるいい男、ってな」

水の勢いを弱めてにやりとした。

たしかにこの委員長もかっこいいけど… いや、そうじゃなくて

「…………」

委員長は前髪からしずくが落ちるのを合図に、

お団子を私に押し付けて、ディーノさんのもとへずかずか歩いて行った。

ドスッ

トンファーで顔を思い切り殴る。

「てめっ」

びちゃっ

バシッ

ホースを床に落とし、ディーノさんは素手で応戦。

子どものような喧嘩に呆れながら

私は持っていたみたらし団子をひとつ口に入れた。