風紀委員長のわんこですが (ページ9)

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8匹目　戦わなければ生き残れない!① ページ9

『どうも…』

壁に寄る生徒たちに軽く会釈をしながら早足で通り過ぎる。

例のセーラー服を着るようになってから、廊下を歩くと人の海が割れるようになった。

人込みが苦手な自分にとっては嬉しい効果だ。

「はぁ、風紀委員かよ…」
「おい聞こえるぞ！ヒバリに報告されたらどーすんだよ」
「けっ風紀委員長サマがよ、ちょっと強ぇからって調子乗りやがって」

それでも、生徒からの視線は少し痛い。

絶対に目を合わせないようにする者、反対にじろじろこちらを見る者様々だが、共通しているのは"向けているのが好意ではないこと"。

…まあ、当たり前か。

若干の申し訳なさを感じ少し下のほうを見て歩いていると、

スッ

目の前に影が現れた。

私は少し体をよろめかせながら、ぶつかる直前で足をとめた。

『すみませ………

…………あ』

謝ろうと相手の顔を見てかたまった。

「何？」

私にこんな服を着させた張本人が立っていたのだ。

『お、おはようございます』

むすっとして立っている委員長に、丁寧にお辞儀をする。

この人はよくこういう顔をしているが、別に怒っているわけではないのだと最近わかった。

「ちょうどいい。後処理、しといてね」

『え？』

委員長はちらっと引き戸(ここから出てきたのか？)を見ると、私が来たのと反対方向に足を向ける。

再び人の海は割れ、あの人は私が味わったのよりさらに強い感情を一身に受け、

当然のように道の真ん中を歩いていった。