風紀委員長のわんこですが (ページ30)

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29匹目　入院③ ページ30

それは床に這いつくばった血まみれの男だった。

「相部屋になった患者とゲームをしてたんだ負けると…こうなる」

ぐしゃっ

いつの間にか私の背後に立ち、弱弱しくうごめく腕を容赦なく踏み潰した。

男は声にならない悲鳴をあげて力つきる。

あまりに痛そうで顔をしかめた私だが、すぐにハッとして委員長に向きなおった。

『体調は大丈夫なんですか？安静にしていないと――』

治るものも治りませんよそう言いかけたとき、

ガラガラガラ

窓が開けられた。

「よぉ雲雀ぃ」

でこ出し童顔と長身とげとげ……いつぞやの2人組と

何度か校舎裏に運んだ覚えのある見慣れた不良が数人、窓から現れた。

『ど、どうしてここが！？』

「群れで情報を共有する――弱者の知恵さ」

「てンめぇ！！！」

不良達は頭に血管を浮かび上がらせて、釘バッドを構えたり、メリケンサックをぎらつかせたり。

こわい…

でも風邪をひいている委員長を戦わせるわけにはいかない。どうにかしなきゃ

『とりあえず草壁さんに連絡を』

「その必要はないよ」

一歩、前に出た委員長は何故か微笑みを湛えている。

あれ、この人まさか………

「始めようか。ちょうどゲームの続きがしたかったんだ」

委員長はトンファーを構えた。

「まずは入院させてもらえるように壊さなきゃ」

ボコボコ

ドカドカ

あー、なるほど。

バシュンッ

ぎゃー！

なるほどなるほど。

委員長はとても元気そうなので、私はそっと病室を出ることにした。