早朝 - 2 ページ25
「はい！ おはようございます、了平さん」
にこやかに話しかけるAと対照的に、了平は眉をひそめて考える素振りを見せた。
了平「だ、誰だ…」
「ほら、この前おうちにお邪魔した」
了平「ぬおおお！ 極限に思い出したぞ！
おまえは京子の友達のムキムキ村ではないか！」
「そうそう！ 思い出してくれてよかったです！ 秋村だけど」
豪快に笑う了平を見て、名前の件は放置しておくことにした。
了平「こんなところで何をしているのだ？」
「ジョギングですよ！ 朝日を浴びながら走るのって気持ちいいんですよねー！」
了平「なんと！ 気が合うな！」
ニカッと笑い手を差し出す了平。 Aは「そっちこそ」とその手を握って見せた
その後、転校初日にツナにしたように抱擁しようと引き寄せる。
了平「な、なんだ？」
突然のことに目を回す了平。
しかし、意識はすぐに握られた手のほうに向かった。
了平「お、おまえの手…！ この手は！」
「？」
了平「極限にボクシングチャンピオンの手だー！」
離れた手をもう一度握り上下に激しく振ってから、レフリーが勝者を示すように大きく上げた。
「へ？」
了平「オレにはわかるぞ！ おまえの素晴らしい筋肉が！」
「えぇ、すごい！ 手を握っただけでわかるんですか？」
了平「当然だ！ 日々の鍛錬なくしてはこんな手は手に入らん！
手だけにな！ わっはっは」
可愛らし笑い声が了平のそれと重なる。
なんとAは了平の天然についていけてしまうのだった。
了平「よし！ このまま世界の果てを目指して筋トレするぞ！
ついてこい、ムキムキ村！」
「はい！ 了平さん！」
底抜けに明るい2人の声が静かな並盛の朝に響き渡った。
【END】
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作者名：波紋セラーノ | 作成日時：2020年4月26日 16時
