赤井を探せば降谷に当たる

9. ページ9

ハニートラップの開始
男の身体に指先を這わせると、男の筋肉が緩むのを感じる
その隙をつき銃を持つ手を捻り上げると、男は銃を落とした


「痛ってぇ、なにすんだこのアマ！」

殴りかかろうと伸びてきた腕を避け、反動を利用して背負い投げ
男は派手な音を立ててロッカーに叩きつけられ、気絶した


「はい、終わりっと」


「…お見事！とても素晴らしい腕をお持ちですね」


誰も見ていないと思った
この男が現れるまでは


「どなたですか？この男の仲間？」


金髪碧眼、褐色の肌、整った顔立ち
この男の仲間とは思えない
だけどこの場面を見られたからにはただでは帰せない


「いいえ、通りすがりの者ですよ。あなたがここに連れ込まれているのを見て助けようかと思ったんですが、必要なかったですね」

にっこりと笑う目の中は暗く、なにを考えているかわからない

「ありがとうございます。父から護身術を習っていたので何とか対処できました」


「素晴らしいお父様ですね。ぜひお会いしたいものです」


その時だった
気絶したと思われた男がゆらりと立ち上がる
気付いた時には時すでに遅し
力一杯腹を殴られる

「うっ、ぐ」

ああ、油断した
これは確実にやられた


殴られたお腹を押さえながら何とか立ち上がる
男は間髪入れず拳を振り下ろした


避けきれない
そう悟り頭だけでも守ろうと腕で防御する
ああ、これで腕もやられるなぁ

10.→←8.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す