赤井を探せば降谷に当たる

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できるだけ俯き加減でいると、視界に安室透が映る


気付かないで…


「お会計1200円になります。…Aさん？」


最後の部分だけ小さく呟かれたため、他の人には聞こえなかったようだ
Aの背筋がすっと凍る
すでにトレーに置いてあった1500円を安室は手早く取り、お釣りの300円を目の前に出した
恐る恐る顔を上げ手を出すと、その手をぎゅっと掴まれる


「偶然ですね？こんなところで会えるとは思ってもいませんでした」


「人違いでは…」


「僕が間違えるわけありませんよ、Aさん」


口元はにっこり笑みを浮かべているが、手を握る力はどんどん強くなる


「もう逃しませんよ」


逃してください！


パッと手を抜き勢いよく店を出る


「梓さん、先程の方にお釣りを渡し忘れたので行ってきますね」


逃すか！


あの後公安の力を使っても見つけられなかった天宮A
否、天音A
絶対に捕まえてやる


わざと渡さなかったお釣りを握り、安室はAを追いかける


捕まったらまた閉じ込められる！


Aは走りながら後ろを振り返ると、案の定安室が追いかけてきていた


やっぱり来た！


適当な路地に逃げ込み息を整える
幸運にもそこは複雑に入り組んでおり、Aは奥へと足を進めた


さすがに追いかけてこないよね？


先程歩いていた道をちらりと覗き込むが人影はない


「逃げ切ったー…」


「残念ですね」


「っ！？」


反対からやってきたであろう安室に手を掴まれ、両腕を頭の上で束ねられる


「なんで！？」


思わず声が漏れる


「あいにくこの辺りは僕の庭なので。2度も逃すつもりはありませんよ」

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