159話 引率者6人？ ページ10
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「それでどうして大人がこんなに来るのよ」
子供達だけでと画策していた旅行は
まぁはじめから却下される事は分かっていたけど
いざ当日が来てみれば
子供の数より大人の数の方が多くなっていた。
「どうも初めまして〜由里子の父のツヨシです。
旧姓をムロと申します、ええ、婿養子でございます、
友達からは未だにムロと呼ばれてまして、えぇ
みなさんも是非、わたしのことはムロと」
「うるさい！！長い！！」
顔をしかめていた由里子が
痺れを切らして声をあげる。
「はいどうも〜この間はどうも〜」
由里子のお父さんと電話で話したときは
もっと丁寧に対応していたはずなのに、
いざ顔を合わせた和くんは
目を細めたおじいちゃんみたいな顔で
適当にへこへこ身体を揺らして
由里子のお父さんに適当な返事をする。
「雅紀の母です、よろしくお願いします」
人懐っこい笑みで会釈しながらも
人見知りらしく一言だけ言って後ろに下がった雅子さんは、
ふーと息を吐いて、和くんに向かって苦笑い。
和くんはそんな雅子さんの視線に気付いて
優しくふわっと微笑む。
「どうも初めまして、松本です。
今日は誘って頂いて……ありがとうございます」
一番、スマートで大人な顔をして
由里子のお父さんに頭を下げた潤君に向かって
「誘ったのは俺ですけど〜」
と、和くんが横から入ってくるけど
「彼女は俺の妻の智子です」
潤君はもの凄くスマートにそれを無視して
隣にいる智子ちゃんの執事かのように
右手のひらを智子ちゃんに向けて
みんなの視線をそちらへ促したす。
紹介された智子ちゃんは「どうも〜」と緩やかに笑い、
辺りがほっと暖かくなった気がした。
なんとなく挨拶をすませた駅のホーム。
由里子のお父さんと潤君、
雅子さんと智子ちゃんがそれぞれ会話を始めた時、
風間くんがそっと、
和くんの横に並んだのを見て
由里子と相葉君の会話から抜け出して
わたしは2人の傍へ歩み寄った。
「すいません、ウチだけ引率者、動員出来なくて」
「いや？風間君はどちらかというと引率……する側だと思ってるから問題ないよ？」
和くんが首で指し示す方向には、相葉君。
それを見て風間くんが、ふふっと笑う。
「雅子さんは智子との女子トークで盛り上がるんだろうから、風間くん、頑張って」
それを聞いて風間君が
「了解です」と頷いた。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2017年6月3日 23時
