154話 結婚したら…？ ページ4
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「たまにはね？遊びに来ればいいと思うけど」
「ありがと〜和くん！」
「ね？A」
和くんに顔を覗き込まれて
とりあえず「うん」と返事をしておく。
「雅紀はほんとにAちゃんのこと好きねぇ」
茶化す、と言うそれでもなく
ごくごく自然にそう言った雅子さんに対して
相葉君もごく自然に「うん！」と元気に返事をする。
相葉君を見ていると時々
本当に同級生かしら？と思うことがある。
小学校低学年の少年のような輝きが
ちょっと……くすぐったい。
ただ、相葉君の言う「好き」が
恋愛感情とはまた違うものだと自覚しているから
元気に「うん」と返事をする相葉君を見ていても
わたしも特に心乱れたりすることもなく
素直に聞き入れられる。
学校でもそう。
「Aさんのこと好きなの？」と問い掛けられる相葉君は
「好きだよ」と返事をして、でもその後に必ず付け加える言葉がある。
「Aちゃんはきょうだいみたいなものだから」と。
「ね、Aちゃん」
「うん、相葉君、弟ね」
「も〜しょうがないな、じゃぁそこは譲る！」
相葉君の偉そうな態度に和くんが声をあげて笑って
雅子さんは苦笑い。
わたしは……相葉君より「上の立場」を獲得して
まんざらでもない気分。
と、和やかに、穏やかに流れていた空気は
相葉君の一言で、 掻き乱された。
「おかぁと和くんが結婚してくれたら、
俺ほんとうにAちゃんとキョウダイになれるんだけどな」
固まる、空気。
ざわざわと騒ぐ、わたしの心。
顔を見合わせ、
そしてそれを赤くする、ふたり。
「バカなこと言わないの、雅紀」
雅子さんがスプーンを握り直す。
「ぶっ飛んでるなぁ」
和くんが、水の入ったコップを傾ける。
わたしは……
「ね、Aちゃん」
なにが、「ね」なのか
さっぱり分からない。
「やっぱりさっきのなし。相葉君は弟じゃない、赤の他人」
「えっ！」
わたしが露にしている「不機嫌」は
ジョークじゃなくて本気なんだけど
和くんはわたしを見て笑ってる。
「そんなに俺、いや？」
そこじゃないのよ相葉君！
喋るのも億劫で相葉君を睨むと
はの字にした眉をもっと下げて
怯えたように身を引く仕草をする。
「Aを怒らすんじゃないよ、雅紀ぃ」
……さっきまで照れて顔、赤くしてたくせに。
和くんはもうしれっとした顔で
なぜか楽しそうにわたしの顔を覗き込んでくる。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2017年6月3日 23時
