名前 ページ3
「天元って呼べよ」
「嫌です」
「何で」
「何でって、何で先生のこと、下の名前で呼ばなきゃいけないんですか?」
ここ最近、記憶を取り戻してからというもの、Aに『宇髄先生』と呼ばれるのが妙にむず痒く、呼び捨てでいいと何度も言った。
そして今度は『天元』と呼べ、と。
しかしそこは生徒と教師。
嫌だとごねるA。
「お前が好きだから」
「は?」
「前から、好きだったんだよ。ずっと昔から」
「……頭、大丈夫ですか?ほんと」
「頭は至って平常だっつーの」
「一度大きな病院で検査を受けた方がいいと思いますけど。前世だ記憶だ何だかんだって、絶対どこかおかしいですよ」
「だから大丈夫だって言ってんだろーが。何だその目、人を哀れむような目で見んじゃねえよ」
じとー。っとかわいそうな者でも見るような目。
そう言えば、この時代ではAは目を失うことない。
記憶はないが、その点に関してはよかったと思う。
鬼に目を奪われることも、片目を潰されることも、この時代ではない。
((もうあんな思いは二度と御免だからな……))
あの時は辛かった。
取り戻したくても、取り戻せなかった。
片目しか。
取り戻すチャンスはあったのに。
「もう、お前を失いたくねえんだよ……」
「?」
少し悲しそうに、Aの顔を触る宇髄。
不思議と嫌な感じはしなかった。
離してください。
何するんですか、とは言えなかった。
悲しそうな宇髄の顔を見て。
「なあ。一回、『宇髄くん』って、呼んでみてくれねえか?頼む」
「……。宇髄、くん?」
「!」
くるものがある。
こう、奥からぐっと。
昔のAと重なる。
「はあーーーーーーーーーっ」
「?!」
「やっぱ早く、記憶取り戻してくれ………。俺が取り戻せたんだから、きっとお前もなにかの拍子に取り戻せるはずだ……。そのためなら、なんでもやるから」
「いや、だから意味がわからないですって」
「頼むから〜〜」
((ああ、めんどくさい………。またいつものパターンだ……))
大人なくせに、たまに子供のようにただをこねる。
その度に、どうどうと宇髄をなだめるA。
これではどちらが大人なのだかわからない。
「A〜〜〜」
「あー、はいはい」
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コハク(プロフ) - 両親に挨拶いった話みたいです! (2019年11月9日 0時) (レス) id: 2e3acf2050 (このIDを非表示/違反報告)
ヒビヤ - またリクエストすいません!結婚式見たいです!! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 285698817c (このIDを非表示/違反報告)
ミミット - リクエストです!!ハロウィン仮装をしてイチャイチャして欲しいです! (2019年11月6日 22時) (レス) id: 8fab9ce7af (このIDを非表示/違反報告)
ヒビヤ - リクエストします!プラネタリウムのほのぼのデートか家で甘々イチャイチャ見たいです!! (2019年11月6日 21時) (レス) id: 285698817c (このIDを非表示/違反報告)
牛乳とコッペパン(プロフ) - リクエストです。海に行って欲しいです!! (2019年11月6日 10時) (レス) id: c20b5adaac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんだ (旧 國子) | 作成日時:2019年10月15日 15時