盲目の柱 ページ2
盲目の柱。
目の見えない彼女は、とても耳がよく、気配に敏感だった。
そしてある日、彼女は出会った。
鬼に襲われそうになっている、自分とそう年の変わらなさそうな少年に。
((殺られる…!))
そう思い、少年が襲い来る攻撃に身構えた瞬間。
「もう、大丈夫ですよ」
それは音も気配もなく現れたかと思えば、目の前の鬼の頸を易々と切ってしまった。
少年はその姿に見惚れていた。
「己ェェェェェェ!!!!」
「私が、気がついていないとでも?」
もう一匹いたのか…!
少年が気づいた時、彼女は刀をもう既に振るっていた。
「私は他の人より、そういうのに敏感なんです。残念でしたね」
また、気づいた時には鬼の頸はポトリと地面に落ちていた。
あっけらかんとした表情で少年は彼女を見た。
いつ抜いたか分からない刀。
その刀身は、吸い込まれるような綺麗な星空の様な輝きを放つ色だった。
「怪我はないですか?」
「は?」
これのどこが怪我をしていない様に見えるんだ。
少年は思った。
鬼から逃げるのに夢中で、今更になって全身に痛みが襲ってきた。
あちこちで転んだ。
痛い思いをした。
なのにこの女は今、なんと言った?
『 怪 我 は な い で す か? 』 だ と ? !
「あるわボケ!この怪我が見えてねえのかこのクソア…」
少年が続けようとしたその時、気づいた。
彼女の両目が閉じられている事を。
「あんた……目が…」
見えてないのか?
そう少年が言いかけた時、彼女は少年に向かって背を向けてしゃがみこんだ。
「なっ!?」
「お家はどこです?送っていきますよ」
「歩けるっつーの!」
「あら」
「目の見えてない女の背に背負われるなんざ御免だ!あと子供扱いすんな!!俺と同じくらいの歳のくせに!!」
「それはすみません」
調子が狂う。
何故かは分からないが、気がつくと彼女のペースに乗せられてしまっている。
少年は忍びだった。
忍びとして他人のペースにのまれることが、どれだけ未熟なことか。
((俺は………まだまだだ………))
彼女の知らぬ所で、少年は己の力不足を実感した。
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ずんだ (旧 國子)(プロフ) - レンサさん» コメントありがとうございます。私の所は全巻売り切れで、ノベルしか置いてませんでした(泣)よもやこれほどとは……。続編の更新、頑張ります!応援ありがとうございます! (2019年10月16日 0時) (レス) id: 96c933232a (このIDを非表示/違反報告)
レンサ(プロフ) - この話ずっと読み返してます。私の行きつけの書店でも所々巻数が抜けていて店員の人に取り置きさせて貰いました。続編の方も読みます。頑張って下さい。 (2019年10月15日 16時) (レス) id: 6d7ff987c8 (このIDを非表示/違反報告)
ずんだ (旧 國子)(プロフ) - シュウさん» コメントありがとうございます(*´∀`)読み返して自分でも「あれっ!?」ってなりました。上弦の月て………(;´∀`)書いてるうちに頭の中ごちゃごちゃになってました。すみません、ありがとうございます!あとで直しておきます( ;∀;) (2019年10月14日 12時) (レス) id: 96c933232a (このIDを非表示/違反報告)
シュウ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。少し気になつたのですが、宇髄天元の目と腕を奪ったのは十二鬼月の上弦の陸です原作読まれてないとの事なので恐らく情報がごっちゃになったかと…これからも更新頑張ってください! (2019年10月14日 8時) (レス) id: fbf674f14e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ずんだ (旧 國子) | 作成日時:2019年10月10日 17時