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・43 ワタシ ページ44
腕の中に収めたコイツが、「ひぅ」って変な声を出す。
力強く抱きしめて肩口に顔を埋めると、「うぅ」と苦しそうに声をあげる。
でもゆっくりと、俺の腰辺りからするする上へあがってきたコイツの手が
背中に回されて、俺にぎゅっとしがみ付く。
「に……ニノ……」
か細い声で、俺の名前を呼ぶ、芽衣子……
「うん。久しぶり……久しぶりだね。」
身体を離して、芽衣子の顔を見た。
目に涙が、溜まってる。
頬を少しだけ、撫でて
唇に
ちゅって、一瞬キスすると
芽衣子はぽろぽろと涙を零し始めた。
悲しくて泣いてるわけじゃない。
切なくて泣いてるわけじゃない、よね？
「元気そうで良かったよ。」
俺がそう言うと、芽衣子が涙目を大きく見開いた。
「……ふふふ、元気じゃなかったよ、って？」
涙を指で拭ってやると、芽衣子が目を細めて
泣きながら「元気だったよ……」と返事をした。
「俺ね、ほんとずっと、気になってしょうがなかったのよ。
お前がちゃんとほんとに、克服できてんのかとか。」
ぎゅっと瞑った目から、まだぽろぽろと涙を零して
芽衣子がうんうん、と頷く。
「ちゃんと元気になっててくれないとさ、俺も困るから。」
ゆっくり目を開けた芽衣子が、どうして？って顔でこっちを見てる。
「ごめんね。お前はちゃんと約束守ってくれたみたいだけど……
俺は守れなかったよ。」
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2014年9月9日 16時
