～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ43)

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誰っ！？

と思った瞬間、向こうの人影もわたしの姿に気付いて

それまで台車に預けていた視線と顔を、すいっとわたしの方へ向けた。

「えっ……」

何とか驚きに耐えて、落とさずぎゅっと握りなおした惣菜のケースを……

ニノの顔を見た途端、落としていた。

「わぁ！ちょっと！」

目の前の、ニノが……

あぁ～あぁ～って言いながら、

台車を回り込んで、こっちへ来て……わたしは思わず後ずさると

ニノは、腰を曲げ、落としたケースを覗き込む。

「中身は出なかったね。」

そう言ってケースを持ち上げて「重っ。」って声をあげて

ニノが真っ直ぐに前を向けば、その視線はすぐそばでわたしと交わった。

「……お久しぶり。」

ニノが、そう言って笑う。

小バカにしてそうな……優しい顔が、わたしをしっかり見つめていて

嘘だ、本当に……本物？

何の言葉も出てこなくて絶句していると

「コレ、台車でいいのかしら？」

と、ケースに視線を落としたニノが呟く。

「あ……うん……」

ぼんやりと返事をすると、背を向けて「よいしょっ」って言いながら

台車にから揚げの入ったケースを乗せて

「こんなの抱えてたんじゃぁ抱きつけもしない。」って

「えっ……」

そう言いながら振り返ったニノは、そのまま二歩、わたしに歩み寄って

そしてそのままわたしを自分の胸の中に収めて、

ぎゅっと、抱きしめた。