・04 ワタシ ページ5
「ニノ〜、最近なにがあった？」
大野さんと２人で仕事をしていたある日の昼下がりに、
大野さんにプロレス技をかけてストレス発散してたら急に。大野さんがそんな事を言い出す。
「何がって何よ？」
「なにかあったでしょ？」
「何もないけど？なぜ？」
「だって、すげぇ甘えてくるからあぁぁいででででっ!!」
プロレス技をかけてみる。
「甘えてくるって何。」
「んんっ…んーいま、い、いまみたいの!!」
ああこれ？プロレス技？
「これ甘えられてると思ってんの？随分激しい表現の仕方じゃない？」
「ニノは素直じゃないからぁぁぁいででででっ!!も、もうや、やめて!!しぬっ!!」
離してあげると、肩で息をして顔をしかめる大野さん。大袈裟だよ。
それでも、力なくにへーっと笑うと
「聞いてあげるから〜言ってみ？」とか言ってくるからすげぇー包容力だな！と思って
俺も笑っちゃって、そしたら大野さん
「失恋した？」ってピンポイントな事を聞いてくる。
いや、ピンポイントじゃない、別に失恋なんてしてない。
「失恋？なにそれ？」
「違う？」
「違う。」
「うそばっかり〜。」
分かったような口をきくからまたプロレス技をかけてやろうかと思うんだけど、
さすがにもう素直に捕まえられてはくれなくて、お互い中腰の姿勢で間合いをとって
カバディかレスリングか？みたいな状態になって
「てかアンタがそう思ったんならみんなもそう思ってるってことよね。」
「そうじゃない？」
「何でなんも言わないかな。」
「翔ちゃんのせいかなぁ〜？」
「せいって訳はないけど…まぁ十中八九そうでしょうね。」
今度は大野さんの方が俺に掴みかかろうとしてくる。
ゲラゲラ笑いながらじゃれてて思うけど、
俺達もうアラサー通り越してアラフォーよね？
あ、ワタシは辛うじてまだアラフォーではないけどね？
でも何でこんな事してんのかしらと思うけど、まぁ
ぶっちゃけ癒されんのよ。この人とふざけてると。
やっぱそうね、甘えちゃってんのかな。
「なに？失恋して落ち込んでるの？それとも片思い？」
「あ、もう色恋沙汰で決定なんですね？」
そうやって笑ってるうちにスタッフからそろそろスタンバイの声が掛かる。
「後で教えて？」
「そんっなに聞きたい？」
「だってニノ辛そうだから。」
普段、ろくに口も聞かないくせに、
俺が言葉を欲しい時に限ってそうやって言って来るんだから
アナタって本当にリーダーよね。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2014年9月9日 16時
