・24 ワタシ ページ25
ジェイから意外な言葉が出て、俺はつい慌てて後ろを振り返ってしまった。
何の気なしないつもの顔をして、どうする？って訊ねてくるジェイを見て
俺は咄嗟に「じゃぁ、お願い。」と口に出していた。
「出来れば跡形もなく粉々に、もう粉砕ってくらいにしてくれると有り難いんだけど、
ソイツなかなかに手強くて……全然割れないの。」
俺の言葉を聞いてジェイはミルクボトルとやらをまじまじと眺め
「耐熱だから、ガラスが厚いんだよね……でも大丈夫だよ。」と言うと
自分の鞄からスカーフを取り出した。
なんだってそんな派手なスカーフが鞄に入ってんだかよく分かんないけど
鞄から取り出しながらジェイが
「ここの窓の外から下に向かって落とせば、簡単に割れるっしょ。」なんて
危ない事を言う。
「それはまずいよ！危ないし、破片だって飛び散るよ！？」
ジェイは俺を見てにっと笑って見せると
いま取り出したスカーフをテーブルに広げ、その真ん中にミルクボトルを置いた。
「こうすれば平気。」
そしてミルクボトルをそのスカーフで包み、4つ角を持ち上げ縛り上げると
ミルクボトルの姿はスカーフの中に隠れて見えなくなった。
「このまま落とせば、破片はこの中に留まるから大丈夫だよ。
あとは下に人がいない事を確認すれば……」
スカーフに包まれたミルクボトルを片手に
ずんずん窓際に歩み寄るジェイは
窓の鍵を解いて、その窓も前回に開け放った。
え、もう……
迷いもなくもう、本当にやるの？
椅子から降りて急いでジェイのそばに駆け寄るよりも早く
スカーフをつまんだジェイの手は、窓の外に垂れ下がって
「ちょっ……」
心の準備も
掛け声もなにもないうちに、
ジェイの手から離れたスカーフは、ミルクボトルの重さに任せて
一気に真下へと落下していった。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2014年9月9日 16時
