・22 ジェイ ページ23
「おはよ。」
「はよー。」
ニノと2人で撮影が入っていたある日の午後の楽屋にて
俺が着替えをしているところにニノは入ってきて
俺を一瞬チラッと見た後、鏡台の上にバッグを置いてがさごそと中を漁り始めた。
いきなりゲーム？っていうのも珍しくないけど
「あのさージェーイ？」
のんびりと間延びした声に「んー？」と返事をして
シャツの袖に腕を通してニノを見たら
「これ、もらってくんない？」と言って
俺に何か差し出してきた。
「なに？」
「これ。」
何かは言わないで差し出された手の中のそれをまじまじと見ると
ガラスの小瓶で
「花瓶？」
「で、いいんじゃない？」
ニノがそう言ってずっと俺に手を差し出したままでいるから受け取ってみる。
「あぁー、ミルクボトルか。」
「え、そんな名前なの？」
「そうだと思うけど……プリンとかで使う事が多いかな、この大きさだと。」
ミルクボトルから目を離してニノのほうを見たら
すぐに俺から視線を外して「へぇ。」って声出してまた鞄の方へ向いてしまった。
「どしたの、これ？」
「んー、おみやげ？あっても邪魔だし。」
「1個だけもらってもな……4つくらいあればプリンでも作れるけど。」
「いらなかったら捨てて？俺も捨てたいと思ってたから。」
全然こっちを見ないで、鏡台の前の椅子に勢い良く腰を下ろしてゲームをし始めるニノ。
一応もらっておくわ、ありがとう。いつもだったらそう言う。
どんなものでもニノから貰ったものならこれからずっと大事にするけど
俺はありがとうって言葉を飲み込んで、ニノに聞いてみた。
「捨てたいなら、捨てたらよかったのに。」
ニノがゆっくり後ろを向いて俺を見るとふはって鼻で笑いながら
「ごめん、迷惑だった？」と言った。
「全然。ただ、捨てるほうが簡単なのになって。
他の瓶と一緒に不燃物の日に出せばすぐじゃん。」
いっつもキラキラうるうるして見えるニノの瞳が
「ん、それもそうだわ。」
ゆらゆらっと、揺れる。
「これ、大事なもの？」
ゆらゆらの瞳がぐっと下を見ると
「大事だったら捨てないっしょ。」と言って口はきゅっと笑う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 267人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あひる x他1人
作成日時：2014年9月9日 16時
